2013 Fiscal Year Research-status Report
生物由来界面活性剤の粘膜アジュバント効果に関する研究
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25460597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉野 直人 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20372881)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / ワクチン / アジュバント / サーファクチン / 界面活性剤 |
Research Abstract |
粘膜組織での感染防御免疫を誘導するためには、効果的なアジュバントが必要になる。これまでの研究により、C57BL/6マウスに抗原として卵白アルブミン(OVA)とアジュバントとしてBacillus polymyxaが産生するポリミキシンB(PMB)を経鼻投与したところ、血漿中および粘膜分泌液中にOVA特異的抗体価が増強されることを明らかにしている。さらに、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN:脂肪鎖を切断した環状ペプチド部位)を用いた検討により、PMBの粘膜アジュバント活性には疎水性である脂肪鎖が関与していると推測され、PMBの界面活性作用が重要であると考えられた。今回我々はPMBと類似した分子構造を持つ微生物由来界面活性物質でBacillus subtilisが産生するサーファクチンとPMBのアジュバント効果を比較した。 C57BL/6マウスにOVAと種々の濃度のサーファクチンまたはPMBを、1週間間隔で合計3回経鼻投与し、最終免疫から1週間後に検体を採取した。血漿および粘膜分泌液でのOVA特異IgGおよびIgA抗体をELISAにより測定し、粘膜関連組織と脾臓におけるOVA特異抗体産生細胞数をELISPOT法により計測した。 サーファクチン投与群では非投与群と比べ優位に粘膜分泌液および血漿中にOVA特異的抗体が誘導された。鼻腔粘膜組織などの粘膜関連組織や、全身免疫関連組織である脾臓のいずれにおいても抗体産生細胞が誘導された。また、OVA特異的抗体を誘導する濃度は、PMBと比較するとより低濃度であった。サーファクチンの界面活性効果はPMBよりも高く、臨界ミセル濃度以上ではサーファクチン投与群で血漿中のOVA特異的抗体価は同等であった。 本研究によりサーファクチンの粘膜アジュバント活性が確認され、PMBより低濃度でもアジュバント作用があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実験を行ったため、概ね順調に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
サーファクチンのアジュバント活性が明らかになったので、ワクチン効果と作用機序の解析を行っていく。ワクチン効果に関しては、毒素およびウイルスを用いてワクチン効果の検討を行う。作用機序に関しては肥満細胞欠損マウス(WBB6F1-W/Wv、WBB6F1-Sl/Sld)を用い、作用部位の特定を行う。培養細胞を用い、in vitroにおいてサーファクチンの作用を分子レベルで解明する。また、界面化学的解析を行うことで、界面化学的指標とアジュバント効果の関連を解明する。
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