2015 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティック制御因子EedによるT細胞機能制御機構の解明
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25460599
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
内藤 拓 東邦大学, 医学部, 講師 (10568728)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TGFβ / IEL / エピジェネティクス / Eed |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストン修飾の一つであるH3K27メチル化のT細胞分化および機能における役割について検討するため、T細胞特異的なEed欠損マウスの解析を引き続き行った。TGFβ存在下で刺激するとCD4+T細胞は主としてFoxp3+制御性T細胞へと分化するが、Eed欠損CD4+T細胞ではFoxp3と共にCD8の脱抑制も誘導される。EedとともにH3K27メチル化を触媒するPRC2複合体を構成するEzh2をノックアウトしても同様の表現型が得られた。また野生型CD4+ T細胞ではTGFβ添加によりEed遺伝子発現量が抑制されることから、Eed発現制御を介したH3K27メチル化の低下がTGFβ応答の調節に関与することが示唆された。TGFβはCD4+CD8αα+IEL(以下単にIEL)の分化も促進することが知られており、Eed欠損下で見られたCD8の脱抑制もIEL分化の異常亢進であると考えられた。IEL分化にはThPOKの発現低下、Runx3の発現亢進が重要であるため両転写因子の発現を検討した結果、Eed欠損T細胞ではTGFβ添加によりRunx3の高発現が誘導されることが明らかとなった。Cbfbとの二重変異、あるいはドミナントネガティブ型T-betの強制発現によりCD8の脱抑制が抑えられた。両転写因子はIEL分化に必要であることが報告されており、上記の結果よりEed欠損CD4+T細胞でみられたCD8の脱抑制はIELへの分化経路が活性化されたことによるものと結論づけた。また野生型あるいはEed欠損OT-IIトランスジェニック由来のCD4+T細胞を養子移入し、固有抗原の経口投与によりin vivoでTreg誘導を行ったところ、Eed欠損OT-II+ T細胞ではCD8を共発現するものの割合が野生型と比較して増加していた。このことはEed欠損によるIELへの分化亢進は生理的条件下でも起こることを強く示唆した。
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