2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460602
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大谷 真志 東邦大学, 理学部, 講師 (20383713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | mTORC1 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
mTOR complex 1 (mTORC1)は、成長因子や栄養・エネルギー状態など細胞内外の環境情報を統合し、増殖や代謝などの細胞機能の制御のみならず、免疫機能の制御に関与している。我々はこれまでに、in vitro 解析および樹状細胞特異的mTORC1機能欠損マウス(KOマウス)を用いたin vivo解析から、樹状細胞においてmTORC1はサイトカインであるIL-12産生を負に、IL-10産生を正に制御することで自然免疫反応を調節していることを明らかにした。IL-12はヘルパーT細胞の分化制御に関わることから、本研究では、獲得免疫反応における樹状細胞のmTORC1の役割について明らかにすることを目的とした。 コントロールマウスとKOマウスでは定常状態における血中の総 IgM, IgA, IgG 産生量に違いは見られなかった。また、脾臓の CD4+ T 細胞や B 細胞の数に違いは見られなかった。一方、BSA+Alumでマウスを免疫した後の血中の抗原特異的IgGの力価はKOマウスで低下しており、特に抗原特異的IgG1に影響が見られた。しかし、両マウスにおける免疫後の総IgG産生量の増加に目立った違いはみられなかったことから、KOマウスにおける抗原特異的IgG力価の低下は樹状細胞による抗原特異的反応の誘導に原因があると考えられ、実際KOマウスでは免疫後の脾臓におけるTh2細胞の割合がコントロールマウスと比べて低下していた。 以上のことから、樹状細胞においてmTORC1は抗原特異的Th2細胞の分化と、それに続く抗原特異的IgG1産生の誘導を正に制御していると考えられた。このことは、樹状細胞のmTORC1が抗体産生のみならず、ヘルパー細胞が関わる様々な獲得免疫反応に影響を及ぼす分子である可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)