2013 Fiscal Year Research-status Report
占領軍公衆衛生福祉局と厚生省との協同・対立に関する考察 -GHQ文書による検証-
Project/Area Number |
25460627
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
杉田 聡 大分大学, 医学部, 教授 (00222050)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸井 英二 人間総合科学大学, 人間科学部, 教授 (30111545)
後藤 芳美 大分大学, 医学部, 助教 (30623938)
田中 誠二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (60561553)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 医学史 / 保健医療史 / 医療政策 / 占領期 / 公衆衛生 |
Research Abstract |
1.「占領期の日本脳炎対策に関するGHQ/SCAP/PHWの活動についての考察」 GHQ/SCAP/PHW文書(Weekly Bulletin, Daily Journalに所収された Memorandum for Record)を用いて、占領初期(1945-1947)の我が国の日本脳炎対策において、PHW(公衆衛生福祉局)の職員、Neurotrophic Virus Commission(脳炎ウイルス使節団)の派遣研究者、及び日本側の行政官、医学研究者のの果たした役割を考察した。 PHWでは、S.E. Moolten (Laboratory Consultant)が1945年11月2日に、それまでの日本における日本脳炎に関する研究のレビューと北岡正見(伝染病研究所所員)にインタビューをおこない報告書を作成した。その報告書をもとにNeurotrophic Virus CommissionのJohn R. Paul (Yale University School of Medicine)と、William M. Hammon (University of California)が、三田村篤志郎(前伝染病研究所所長)を中心とする研究者グループと協同して、日本脳炎研究のための研究所の開設、及び岡山県をフィールドとした日本脳炎ワクチン検証プログラムを実施したことが明らかとなった。 2.「占領期日本の健康教育において『公衆衛生列車』が果たした役割」 公衆衛生列車の運行は厚生省主催で1947年11月1日から東京を起点として全国を巡回し健康教育の展開のため実施されたが、占領軍の大きな関与(公衆衛生福祉局:PHW、民間情報教育局:CIE、各地軍政部)があったことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1945~1952 年の占領期における保健医療改革を担った厚生省等の日本の行政機関とGHQ/SCAP/PHW(連合国最高司令官総司令部 公衆衛生福祉局)との協同や対立構造を明らかにすることを目標とした本研究は、これまでの研究で完成したGHQ 文書の解読、復刻、ハイパーリンク化等を利用し、比較的文書が系統だって保存されている感染症対策から開始された。しかしながら、検証すべき史料の量が当初の算定よりもかなり多く、現在の所、日本脳炎対策に限られた検証となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、感染症対策における日米の協同と対立の検証を各種感染症についてさらに行い、『公衆衛生列車』をはじめとする日本全国への健康教育の展開を占領軍軍政部の職員や日本の地方自治体の職員を含めて考察する予定である。 また、PHWと協同で保健医療政策を実施した厚生省、文部省、伝染病研究所、東京大学等の行政官や研究者のリストを作成することを企画している。
|
Research Products
(4 results)