2013 Fiscal Year Research-status Report
医師は乳幼児にとって常に怖い存在か?「医者嫌い」のメカニズムの解明
Project/Area Number |
25460639
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
渡部 基信 同志社大学, 研究開発推進機構, 共同研究員 (30649306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 月齢変化 / 予防接種 / 医者嫌い / 心拍変動 |
Research Abstract |
日常の小児科の診療において,しばしば乳児は「医者嫌い」と呼ばれる拒否反応を示す。今まで見過ごされてきたこの現象のメカニズムについて、本研究において明らかにしていきたい。今回医師診察時の状況を研究室に再現し,医師に対する乳幼児の行動について実験的に検討した。 【方法】対象:健康な生後7ヶ月から20ヶ月の乳幼児46名(女児23名,男児23名)。 手続き:パーティションを使って簡易の診察室を作り,奥の壁側の椅子に母親が座り,その膝の上で乳児に座位を取らせた。実験は4つの場面で構成された。①白衣を着た実験者が母子の正面から部屋に入る(入室)。②次に母親に話しかけながら診察出来る距離まで母子に近づき椅子に座る(着席)。③問診を取りながら白衣から聴診器を取り出し乳児の胸部にあて聴診する(聴診)。④聴診をした後実験者はパーティションの横から部屋の外へ出る(退出)。解析方法:乳児の胸部に心電図のセンサーを取り付け実験中の心拍数を計測した。また実験中の乳児のビデオ撮影を行い,医師への注視時間を計測し,行動を分析した。 【結果】生後400日未満と400日以上では医師に対する反応が大きく異なっていた。生後400日未満児では、医師の入室後に児の心拍は有意に低下していたが、生後400日以上の児は入室後徐々に心拍が増加していた。 一方、聴診後生後400日未満では徐々に心拍の増加がみられたのに対し、400日以上では心拍の低下をみた。さらに詳しく解析を進めてみると、予防注射を接種後1か月以内の児では、聴診後脈拍が上がるのに対し、1か月以上経っていると脈拍が低下していることがわかった。 【考察】医師に対する乳幼児の反応は、年齢により違うことが示された。さらに、予防接種からの期間が関係していることがわかった。医師と乳幼児との関係を考える上で、予防接種の影響は大きいものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度には3つの計画を立てた。1番目は「月齢による乳児の行動の変化について調べること」であった。上記のように生後400日以上と未満で、医師に対する心拍の違いを見出せた。今後撮影したビデオの解析を進め、行動の変化についてさらに調べたい。2番目の「乳幼児の生活環境や日頃の医師との関わり方と行動パターンの解析」については、予防注射の影響が大きいという結果を示すことが出来た。さらに3つめの「基本的情動発達との関連」については、乳児行動調査票IBQ(Infant Behavior Questionnaire)のデータは既に得られており、現在解析中ある。 以上のように25年中の研究を、ほぼ当初の計画通り進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の計画通り、診察時の医師に対する恐れを取り除く方法を確立する。 実際の現場で行われているような、いきなり効率的に診察する方法は、乳幼児への配慮はなく、医師に対する恐怖心を抱かせる可能性は十分ある。経験的な診察手法と本研究の成果を基に、乳幼児の恐れを取り除くような診察法を確立する。予定するプランとしては、1)診察する前に児と遊ぶ時間を設ける。2)母親と仲良く話をし、その様子を児に見せてから診察する。3)敢えて背中から聴診し児と直接視線を合わせないようにする。この実験系でこれらを実際に試し、ストレス反応を解析し、乳幼児にとって優しい環境での診察法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度購入予定だったワイヤレス心電計解析キットを、定価より安く購入することが出来た。また初年度に購入予定であった解析用PCは、実験データが得られる次年度まで購入を延期することにした。さらに被験者の参加人数も当初より少ない人数であったため、繰越金が生じた。 今年度は被験者の人数を増加し、それに伴い実験補助員も増やす必要がある。そのため人件費が初年度より多くなる予定である。また初年度に購入するはずであった解析用PCの購入も計画している。
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Research Products
(1 results)