2016 Fiscal Year Research-status Report
自治体病院の経営形態移行に関する健康影響予測評価(HIA)適用の妥当性
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25460644
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石竹 達也 久留米大学, 医学部, 教授 (60232295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 邦夫 帝京大学, 大学院公衆衛生学研究科, 教授 (40250047)
星子 美智子 久留米大学, 医学部, 講師 (90557498)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自治体病院 / 経営形態移行 / 健康影響予測評価(HIA) |
Outline of Annual Research Achievements |
1)「標津町国民健康保険標津病院」における経営形態移行による健康影響について 自治体病院における経営形態移行では、その決定要因の多くは医師不足であり、経営形態移行後も、病院の運営が改善する事例は少ないとされる。今回、北海道の道東で元来医師不足の地域で、経営形態移行(地方公営企業法全部適用)後も、医師確保が良好に維持され、地域唯一の医療機関(人口5,000人)としての役割を果たしている病院に対して、院長、事務長、および首長への聞き取り調査を行い、その要因分析を行った。標津町では約20年前から医師確保については北海道だけでなく全国に目を向けてリクルートを行い、九州にある久留米大学医学部の内科系、外科系の医局より医師派遣が始まり、現在まで安定してその関係が維持できていることが大きな要因である。また、病院の経営自体は効率化を進めるのはもちろんであるが、どうしても不採算地区での医療経営のため、町からの財政支援が欠かせず、それに対する町民の理解が、首長、議会を介して十分になされている。さらに、病院執行部と首長との間の信頼関係が良好に構築されている、などが要因として挙げられた。また、病院も単に医療に関わるのではなく、標津町地域福祉計画の策定や運営にも積極的に関与し、地域包括医療の先端を走っていることがわかった。 2)震災地域の自治体病院職員の健康状態に関する情報収集 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座教授の前田正治氏へのインタビューを行った。一般的には1~2%程度のうつ病の頻度が、ある自治体職員では15~20%に上るなど、明らかに自治体職員のメンタルヘルスが問題となっている実態の報告があった。東日本大震災の影響を受けた地域では、自治体病院の医療供給体制とくにマンパワー不足問題が切実であり、残った職員も過重なストレスでメンタルヘルスに問題が抱えている状況が理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は、経営形態別で成功事例の病院へ経営形態が移行する際に住民や病院職員に対してどのような健康配慮を行ったかの聞き取り調査を中心に実施する計画であった。しかし、対象病院の選定や交渉に時間を要し、十分な調査結果が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい「公立病院改革ガイドライン」(2015年)では、、これまでの3つの目的(経営の改善、再編ネットワーク化、経営形態移行)に加えて、該当地区の地域医療構想を踏まえた役割が重視するようになっている。そこで、最終年度の平成29年度は、この点を踏まえて民間の医療機関立地が困難な地域の自治体病院を対象(不採算地区病院)に、経営形態別に運営が良好に行われている病院へのヒアリングの行い、その成功に関連する要因について分析を行う。その経過の中で、地域住民や病院職員へのどのような健康配慮を検討したかについて分析を行う。
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Causes of Carryover |
HIAスクリーニング実施に関わる謝金や交通費を予算として計上していたが、対象自治体病院の選定や協力が得られず、当該年度の実施ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延長年度の平成29年度は、民間の医療機関立地が困難な地域の自治体病院を対象(不採算地区病院)に、経営形態別に運営が良好に行われている複数の病院へのヒアリング調査に当てる。主に調査のための交通費や会議費として使用する。
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