2013 Fiscal Year Research-status Report
AGE-RAGEシグナルを介した慢性炎症疾患としてのアルツハイマー病の病態解析
Project/Area Number |
25460649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勅使川原 匡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40403737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西堀 正洋 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50135943)
寺田 整司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20332794)
劉 克約 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40432637)
和氣 秀徳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60570520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルツハイマー / アミロイドβ / RAGE / AGE / 慢性炎症 / 神経 / ミクログリア / アストロサイト |
Research Abstract |
βアミロイドの蓄積を主要因として発症するアルツハイマー病を慢性炎症疾患と捉え、アルツハイマー病の病態機序の解明と新規治療法の開発を目指す。本研究は、加齢や高血糖で増加するAGEのAGE受容体(RAGE)を介した活性化(炎症反応)が、βアミロイドや抗RAGE自己抗体によって相乗的に亢進させられることがアルツハイマー病態の主要因であるという新規病態仮説に基づいて解析を進める。 アルツハイマー病患者が慢性的な炎症活性状態にあることを臨床的に実証するために、患者からの血液検体を採取し解析中にある。血液検体から分離した白血球(好中球、単球、リンパ球)を用いて、白血球に発現するRAGE及び細胞膜表面に結合したβアミロイドなどを定量解析した。また、血漿成分を今後の解析のために順次凍結保存している。 培養実験系において、神経変性に対するRAGEシグナルの関与を検討するために、大脳皮質の初代培養をおこなった。RAGEリガンドの一つであるHMGB1の組換えタンパクや抗HMGB1中和抗体を培養神経細胞に投与し、神経細胞の成長あるいは変性に対する影響を検討したが、対照群と比べて有意な変化が認められていない。今後、培養条件を再検討して、さらに解析を続ける計画にある。 動物実験では、新生児ラットの脳室内薬物投与・記憶行動試験の基礎検討実験をおこなった。今後、新生児や成体ラット脳室内にAGEやHMGB1などの薬物投与をおこない、アルツハイマー病態との相関性について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルツハイマー病患者の血液検体は、必要に応じて入手して解析が可能な状態である(倫理委員会の承認済)。培養実験は、神経細胞・ミクログリア・アストロサイトなどの単離培養実験系が確立しつつあり、細胞間相互作用に着目した神経変性メカニズムの解析をおこなえるようになりつつある。動物実験は、当初予定していたモデル動物が予算・購入手段の都合で入手困難な状況であったが、代替として薬物脳室内投与動物モデルを作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アルツハイマー病患者の血漿成分の解析。アルツハイマー病患者の血液検体から分離した血漿中に含まれるβアミロイドやRAGE、及びこれらに対する自己抗体の産生量を測定する。また、白血球の活性制御に関与する血漿因子の測定もおこなう。アルツハイマー病患者において抗RAGE自己抗体の産生亢進を認めた場合は、その自己抗体の単離精製をおこない、生物活性・抗原親和性・エピトープ同定などの特性解析を続ける。抗RAGE自己抗体がアルツハイマー病の新たな早期診断マーカーとなる可能性を検討する。 (2)神経細胞とグリア細胞の細胞間相互作用とRAGEシグナルとの関連についての検討。初代培養系大脳皮質細胞から神経細胞・アストロサイト・ミクログリアをそれぞれ単離し、各細胞の単独培養、特定の複数種の細胞の共培養、あるいはコンディションメディウムによる培地置換などの条件下で、RAGEの細胞局在、βアミロイドやBSA-AGEによる神経変性に対する細胞間相互作用の影響を検討する。各種グリア細胞の増殖率や活性化状態、炎症関連因子の発現量の変化についても検討する。 (3))RAGEシグナルの制御によるアルツハイマー病モデル動物の病態改善効果の検討。薬物脳室内投与動物のアルツハイマー様病態を解析し、さらに、抗RAGEアゴニスト抗体・抗RAGE中和抗体などを投与して病態に対する影響を解析する。病態改善効果を検討するために、水迷路試験・Y字迷路試験・物体認識試験などの行動学的検討をおこなう。記憶試験の後は、脳組織の免疫組織化学的手法による病理所見、及び分子生物学的手法による炎症関連因子の発現量の変化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の進行遅れによる、研究分担者の消耗品の未購入。 H26年度の当該研究分担者へは、H26年度分担金と繰り越されたH25年度分担金をあわせた額を実験消耗品の購入のために配分する。
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Research Products
(9 results)