2015 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全進展時におけるトランスポートソームの分子機構学的解明と甲状腺ホルモンの関与
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25460652
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
末永 綾香 熊本大学, 薬学部, 講師 (20040313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 教授 (80120145)
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎障害 / 副甲状腺ホルモン / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では腎障害時における甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンの新たな生理的役割に加え、これらホルモンによる生理調節機構に基づいた新たな腎疾患治療戦略の提案を目的とした。H27年度は昨年までに確認した副甲状腺ホルモン(PTH)によるABCトランスポータ発現調節機構の生理的意義の解明を目的として検討を行い、以下の知見を得た。 1.二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)ラットでは肝臓に加え小腸のCYPのみならず一部のABCトランスポーターの発現をダウンレギュレーションした。また、これらの作用はPTH分泌抑制作用を持つシナカルセト投与により抑制された。 2.Caco-2細胞を用いてABCトランスポーター発現に及ぼすPTHの影響を検討した結果、活性型PTH(1-34)はmRNAレベルには変化を与えずに、膜発現量を有意に減少させた。この作用はPTH受容体に結合しない不活性型PTH(13-34)では観察されなかった。これらの結果から、PTHによるABCトランスポーターの膜発現制御には、PTH受容体を介した転写後調節機構が重要な役割を果たしていることが示唆された。 3.SHPT患者を対象とした観察研究では、シナカルセト投与により、血清中PTH濃度と尿酸値が有意に減少していた。その際、両者の間には有意な正の相関性が認められた。また、これらの結果は上述した病態モデル動物の検討結果と良く一致していた。以上の結果から、血清中PTHの上昇がABCトランスポーターの膜発現を抑制する結果、尿酸排泄の低下を惹起する現象を初めて明らかにした。また、PTH分泌抑制剤であるシナカルセトが、ABCトランスポーターの機能回復を介して尿酸の体内蓄積を間接的に抑制するという、本剤に関する新たなプレオトロピック効果を見出した。
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[Journal Article] p-Cresyl sulfate, a uremic toxin, causes vascular endothelial and smooth muscle cell damages by inducing oxidative stress2015
Author(s)
Watanabe H, Miyamoto Y, Enoki Y, Ishima Y, Kadowaki D, Kotani S, Nakajima M, Tanaka M, Matsushita K, Mori Y, Kakuta T, Fukagawa M, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
Pharmacol Res Perspect
Volume: 3
Pages: e00092
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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