2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460656
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00183624)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎線維化 / マクロファージ / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎線維化の病変形成と進展に局所に浸潤した単球/マクロファージが深く関与している。本研究ではマクロファージの機能調節に関わる転写因子の低酸素誘導因子HIF-1に特に焦点を当て、腎線維化におけるマクロファージHIF-1の役割についてマクロファージ特異的にHIF-1を欠損させたマウスを用いて検討した。その結果、マクロファージのHIF-1はマウス閉塞性腎症における腎線維化の進行に抑制的に働く事が明らかとなった。腎内には尿細管細胞や間質細胞にもHIF-1が存在しているが、これらの細胞のHIF-1とマクロファージHIF-1の腎線維化における相対的意義を検討するため全身性にHIF-1の欠損を誘導したマウスを用いて検討した。しかしながら腎臓全体でHIF-1を欠失させても腎線維化は同程度に生じた。従ってマクロファージ以外の腎構成細胞のHIF-1は逆に線維化を促進している可能性が示唆された。最終年度では全身性にHIF-1した際の腎線維化病変における線維化関連因子の遺伝子発現について、さらに詳細に検討を加えた。腎組織のHIF-1遺伝子発現は野生型に比し95%程度抑制されたにもかかわらず線維化関連分子の遺伝子発現は野生型と差はなかった。またHIF-1依存性に増加し線維化への関与が知られるLysyl oxidase (Lox)の遺伝子発現は線維化に伴い著増したがHIF-1を欠損させても影響を受けなかった。また同様にHIF依存性の血管新生因子であるVEGFの発現は予想に反し線維化に伴い低下し、HIF-1の有無によっても影響を受けなかった。これらの結果から今回用いた腎線維化モデルにおけるLysyl oxidaseやVEGF遺伝子発現はHIF-1が関与していないことが明らかとなった。これらの研究成果はHIFを標的とした創薬における腎臓の応答に関する貴重な情報となると考えられる。
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