2013 Fiscal Year Research-status Report
便DNA検査による大腸腫瘍新規スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
25460687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
末広 寛 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40290978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 直子 山口大学, 医学部附属病院, 副臨床検査技師長 (40420541)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 便DNA検査 |
Research Abstract |
我が国において大腸がん死亡数は年々増加している。2015年におけるがん患者数推計では、大腸がん患者数が、がん患者の中で最も多くなることが予想されており、その対策は急務である。大腸がんの一次スクリーニングである便潜血検査件数は今後増加することが見込まれるが、便潜血検査には次の問題点が指摘されている。1. がんにおける感度が低い(大腸がんに対する便潜血検査の検査感度は30%弱との報告がある)。2. 偽陽性率が高い(便潜血検査が陽性であった33万人のうち、実際に大腸がんがあったのは1万人で、残る32万人には大腸がんがなかった(偽陽性)という報告がある)。このような問題を解決するために、より精度の高い大腸がん一次スクリーニング法を開発する必要性があるため、本研究を行うに至った。 平成25年度の研究実績の概要は以下の通りである。1. DNAチップによる網羅的解析を行い、大腸がんに特異的なメチル化遺伝子(候補)を発見した。2. それらの候補遺伝子の中から、正常大腸粘膜に比べ、大腸癌において高度メチル化を認める遺伝子を発見した。しかも単一遺伝子(TWIST1)の解析により両者を区別することが可能であった。本遺伝子のメチル化のレベルは大腸粘膜(n=218)では平均9.4%であったのに対し、大腸がん(n=341)では平均57.4%であった(P<0.0001)。3. 安価に解析可能なPCRベースの解析法を開発した。4. 便検体を使用して便DNA検査による大腸腫瘍スクリーニング検査の予備試験を行った。大腸がん患者121名、健常者52名の便検体の解析の結果、検査感度は約60%、検査特異度は約90%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である「多数便検体でのメチル化解析による大腸腫瘍スクリーニング法としての検査精度の評価」について、検査感度約60%、検査特異度約90%という結果が得られたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
メチル化遺伝子の検出感度がやや低いため、検出方法の改良が必要である。低コピー数の検出も可能なデジタルPCRを用いた検討を行う予定である。
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