2015 Fiscal Year Annual Research Report
動物接種とゲノム解析の組み合わせによる画期的な難同定病原微生物診断法の開発
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25460692
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岡山 昭彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (70204047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 哲也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10173014)
高城 一郎 宮崎大学, 医学部, 講師 (20418841)
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (70295210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / 新規診断法 / レーザーマイクロダイセクション |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症の診断と治療には病原微生物の同定が不可欠である。しかしグラム染色では菌体を確認できても培地に発育してこない場合や,複数の菌種が混在し目的の起炎菌を分離することが困難な場合がある.これらの問題を解決するため,検体の塗抹標本(グラム染色)から直接起炎菌と推測される菌体をレーザーマイクロダイセクション(LMD)で回収し遺伝子レベルで同定する方法と動物への検体接種を組み合わせることにより、病原体診断率の飛躍的向上を目指す。平成27年度においては、平成25-26年度において問題となった、菌体の切り出しから核酸抽出の効率が十分でなく、環境等からのコンタミネーションが起こりやすい点についてさらに検討を行った。平成27年度に行った精製水を含む試薬,器具・道具,実験環境等についての防止策は、感度が比較的低い場合はコンタミネーションおよびキャリーオーバーの防止について有効であったが、非常に高感度になるとやはり環境菌の検出が起こった。このため、ユニバーサルにすべての細菌を検出できる16S rRNA geneの増幅に加えて、主な臨床分離菌である大腸菌、ぶどう球菌、インフルエンザ菌等に対する特異的プライマーを作成しPCRを行うことを試み、これにより環境菌のコンタミは防止できた。しかしながら、グラム陰性桿菌に比較してグラム陽性球菌は核酸抽出効率が低く、臨床に応用可能なレベルに達さない問題があった。また、大腸菌をマウス腹腔内に接種して、より実臨床に近い状況での検出を試みたが、成功しなかった。以上の結果から現状では本検出系を直ちに臨床に応用することは困難であるが、さらにDNA抽出法を検討し,グラム陽性菌や少数菌から高い効率で DNAを抽出する方法の確立、またマルチプライマーを用いた検出系、マウス実験モデルの確立に取り組みたい。
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