2014 Fiscal Year Research-status Report
低線量被ばくにおける染色体解析を用いた生物学的線量評価方法の確立
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25460694
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
坂井 晃 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70284221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片渕 淳 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40634910)
小川 一英 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40423800)
吉田 光明 弘前大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60182789)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低線量被ばく / 医療被ばく / 二動原体染色体 / 転座型染色体 / Giemsa染色 / FISH法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は福島原発事故による被災住民の低線量被ばくの人体への影響を調査するため、Giemsa染色法およびfluorescent in situ hybridization (FISH) 法を用いた染色体解析による生物学的線量評価方法の確立が目的である。 CT検査での放射線被ばくは医療被ばくの中でも被ばく線量の高い検査であり、人体への影響がまだ明らかでない100mSv以下の低線量被ばくの研究対象として注目した。さらに最近小児でCT検査後の白血病や脳腫瘍などのがん発症のリスクの増加が報告され、医療被ばくによる健康への影響が危惧されているため、CT検査時の放射線被ばくによる影響について染色体の形態異常を解析する。 CT検査前後で末梢血液を採血し、リンパ球を分離培養後Giemsa法とCentromere-FISH法により、2,000個のmetaphase細胞における二動原体染色体形成数の解析を行う。さらに染色体1番、2番、4番に対する蛍光プローブを用いたFISH法により、2,000 metaphases細胞相当(実測値は約5,000 metaphases細胞)中の転座型染色体解析を行う。またCT検査における患者の実効被ばく線量は、患者の年齢、性別、検査範囲から放射線医学研究所の コンピューター解析ソフト (WAZA-ARI)を用いて計測する。さらにCT検査前の化学療法や放射線治療の有無、喫煙などの生活習慣による二動原体染色体の生成に対する影響も解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
100 mSv以下の低線量被ばくにおける二動原体染色体の解析方法には、Giemsa染色法とCentromer-FISH法の2種類を用い、前者では2,000個以上、後者では1,000個以上の分裂細胞の解析が必要であることを見出した。また1回のCT検査による放射線被ばくで二動原体染色体形成が生じることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
染色体1番、2番、4番に対するプローブを用いたFISH法により転座型染色体解析を行い、これらのDNA量が全染色体の23%であり、染色体転座が全染色体に均等に起こると仮定し、補正式 (EPR-Biodosimetry, IAEA 2001) を用いて2,000 metaphases細胞相当(実測値は約5,000 metaphases細胞)の染色体転座を計測する。 さらに平成26年度にCT検査を受けた患者において、そのCT検査後染色体に影響及ぼす化学療法や放射線治療を受けていない場合、平成27年度に疾患の経過を調べるためのCT検査時に平成26年度と同様の染色体解析を行う。2回目の染色体検査を行うことは、1回目の染色体検査で二動原体染色体や転座型染色体の増加を認めた場合、CT検査の累積がそれら染色体異常の形成数を上乗せするか解析できる。
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Causes of Carryover |
講座費を優先的に使用していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試薬および器具類、FISH検査用プローブなどの消耗品の購入、日本放射線影響学会での研究成果発表のための旅費、さらに論文作成費に使用予定。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Analyses of dicentric chromosome formation and chromosomal translocation after a single CT scan in adults2015
Author(s)
Yu Abe, Tomisato Miura, Mitsuaki A Yoshida, Risa Ujiie, Yumiko Kurosu, Nagisa Kato, Atsushi Katafuchi, Naohiro Tsuyama, Takashi Ohba, Tomoko Inamasu, Fumio Shishido, Hideyoshi Noji, Kazuei Ogawa, Hiroshi Yokouchi, Kenya Kanazawa, Takashi Ishida, Jun Ohsugi, Hiroyuki Suzuki, Tetsuo Ishikawa, Kenji Kamiya, Akira Sakai
Organizer
15th International Congress of Radiation Research
Place of Presentation
Kyoto
Year and Date
2015-05-28
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