2015 Fiscal Year Research-status Report
新規卵巣癌バイオマーカーTFPI2の血中発現メカニズムと機能解析
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25460695
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荒川 憲昭 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 助教 (60398394)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 明細胞癌 / 診断マーカー / バイオマーカー / TFPI2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、まず、TFPI2の細胞外マトリクス(ECM)から培養上清中への放出機構を調べた。免疫沈降-ウエスタンブロット法による実験の結果、細胞培養上清中のTFPI2は、全細胞抽出液や細胞からヘパリン処理で遊離させたTFPI2よりも低分子バンドとして検出された。そこで、これら様々なサイズのTFPI2を質量分析装置を用いて解析したところ、ヘパリン処理で遊離するTFPI2はC末端領域を保持しているが、長期間培養した上清にて得られるTFPI2はC末端領域が切除されていることがわかった。C末端領域を介してECM上にアンカーされているTFPI2が、何らかのプロテアーゼの作用により、培養上清中に放出されることを示唆する結果である。そこで、様々なプロテアーゼインヒビターを用いた細胞培養実験を行ったが、責任プロテアーゼの同定には至っていない。 他方、血中に放出されたTFPI2の血清診断バイオマーカーとしての有用性を評価した。国内2施設の後向き収集血清検体を解析した結果、血清TFPI2量はCCC組織の遺伝子発現量と強く相関することがわかった。血清TFPI2量が低いCCC症例では、組織中のTFPI2 mRNA発現量も低いことがわかり、CCC患者におけるTFPI2の血中発現は腫瘍組織中の遺伝子発現に由来することが示唆された。一連の解析から得られた血清TFPI2量およびCA125量のデータを用いてROC解析を行ったところ、様々な卵巣疾患の中からCCCを識別するTFPI2の診断能力(AUC = 0.891)は、CA125 (AUC = 0.595)よりも明らかに優れていた。この結果は、前向き収集された別の検体パネルを用いても同様であったことから、本バイオマーカーが術前にCCCを予測するバイオマーカーとして有用性が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TFPI2がCCC患者の血中に発現するためには、組織中の発現量の上昇だけでなく、ECM上で切断を受け放出されることが重要である可能性が示唆された。CCCにおけるTFPI2のC末端切断酵素の同定には至っていないが、多数多種類の血清検体を用いて、バイオマーカーとしての臨床的有用性を明らかにできており、本マーカーを実用化させるために重要な基礎的知見を得ることができた。順調に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、TFPI2をECMから遊離させる責任プロテアーゼを同定することはできなかった。CCC細胞培養上清のTFPI2のC末端同定情報、および文献情報などから、責任プロテアーゼを推測して検証するなどの実験を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
論文発表するにあたって、実験データの信頼性をよりあげるために,取得したデータの再解析を行う必要が出た。血清中のバイオマーカー測定において、イムノアッセイだけでなく質量分析装置によっても検証し、定量値の妥当性を検証するなど、別原理、別試薬で再測定し、精密な統計解析を行う必要性が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養と質量分析に必要な消耗品、論文投稿に必要な費用に割り当てた。
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Research Products
(5 results)