2015 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の早期診断を目指した血中miRNA定量に関する基盤的研究
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25460698
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
相磯 聡子 杏林大学, 保健学部, 准教授 (40195144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 教授 (80291326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血中マイクロRNA / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は健常者の血中マイクロRNAレベルに影響を与える要因、血清中のマイクロRNAの安定性、および肺がん患者における血中マイクロRNAレベルに関して、以下の3点を明らかにした。 1.エキソソーム中のマイクロRNAについて、血清保存時の分解の有無を調べた。多くの場合、血清を4℃で24時間保存した後も分解は認められなかったが、あるマイクロRNA種では定量値が保存前の約50%で、血清保存中に分解が進んでいることが明らかになった。これらの結果は、エキソソーム中のマイクロRNAをバイオマーカーとして使用する場合でも、検体の4℃における長期の保存は避ける必要があることを示す。この内容はClin. Chem. Lab. Med.に投稿準備中である。 2.喫煙が血中マイクロRNAレベルに及ぼす影響を調べる中で、がん遺伝子型マイクロRNAと考えられているmiR-21のレベルが、受動喫煙者群で有意に低下することが明らかになった。この結果は平成27年度日本臨床検査医学会年会で報告した。 3.Chen-Xら(2012)により肺がん特異的マーカー候補として報告された4種のマイクロRNAについて、日本人肺がん患者を対象に血中レベルを解析したところ、このうち3種でstage Ⅲ/Ⅳ群ではⅠ/Ⅱ郡に比べ高値を示した。またがん切除を行なった患者について、切除後の血中miR-21レベルを調べたところ、切除3週間後に一旦上昇しその後低下する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における対照群の平均年齢(約46歳)が、肺がん患者群の平均年齢(約70歳)と比較し低く、対照群としては不適当と考えられたため、70歳前後の健常者の検体を改めて収集し、血中マイクロRNA解析を行う必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.現在進行中の、高齢健常者検体およびがん切除6か月後の検体の収集が終わり次第、マイクロRNA定量、患者情報の追加収集を行う。 2.すべてのデータを統合して再解析し、有意差検定等を行う。 3.日本人における肺がんのステージ、組織型、化学療法および切除と血中マイクロRNAレベルとの関連について、国際学術雑誌に報告する。
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Causes of Carryover |
追加実験を行なう必要が生じたことと、これにより論文の作成、投稿が次年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部の追加実験および論文作成、投稿のための費用として使用する。
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Research Products
(2 results)