2014 Fiscal Year Research-status Report

虚血変性アルブミンとParaoxonase-1による脳血管障害の血中マーカー開発

Research Project

Project/Area Number	25460701
Research Institution	Showa University
Principal Investigator	木村聡昭和大学, 医学部, 教授 (30255765)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2018-03-31
Keywords	虚血変性アルブミン / Paraoxonase 1 / 慢性閉塞性肺疾患
Outline of Annual Research Achievements	虚血変性アルブミン(ischemia-modified albumin:IMA) は、虚血状態においてN末端アミノ酸8個に非可逆的変性をきたしたアルブミンである。一方、高齢人口の増加に伴い患者が増えつつある呼吸不全では、病状のアセスメントに血液ガスや酸素飽和度がルーチンに測定される。これらは、その「瞬間」での酸素濃度を示す指標であり、長期間の低酸素状態を反映するものではない。アルブミンの血中半減期は約1週間であるため、糖尿病における血糖値とグリコアルブミンの関係の如く、IMAが過去一週間の低酸素状態の指標となるかもしれないと申請者は推定した。測定方法は申請者の既報によった。同意の得られた被験者より血液1mlを採取し、比色法で定量する簡便な分析法である。種々の慢性呼吸不全患者で臨床経過との対応を検討した結果、平成25年までの検討範囲では有意な変動を認めることはできなかった。その原因として、採血から分析までの経時的変化、検体保管条件の関与が推定された。そこで改めて検体採種条件、保管条件を工夫することで、再検討を行なうのが今回の目的である。今回の研究を通じ、低酸素による組織虚血状態に関わるマーカーを幅広く渉猟した結果、血清paraoxonase1 (PON1)活性や、soluble receptor for advanced glycation end-product (sRAGE)が有望な代替候補として浮上しており、長期低酸素状態のマーカーだけでなく動脈硬化や脳血管障害のマーカーとなり得る可能性が示されつつある。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 平成26年度には大学の意向により、研究場所である臨床病理検査室の改築および移転が急遽行なわれた。この結果、研究機器等の稼働スペースおよび研究材料の保管場所の確保が困難となり、特に下半期は一時的ではあるが遂行が困難な状況が続いた。検体の収集はほぼ順調に進んでいるとは言え、解析については予定を見直す必要が生じた。
Strategy for Future Research Activity	平成27年度には代替の研究場所を得るとともに、研究協力者である米国Tuoro大学A.Gugliucci教授の協力を得て実験の継続を図る目処がほぼ立っている。大学側の理解と協力が得られ次第、早急にキャッチアップを図ることが出来る予定である。
Causes of Carryover	大学の方針により、研究実施場所である臨床病理検査室が病院中央棟3階から、公道を挟んで隣接の南棟二階に引越すこととなり、平成26年度中は研究の一時中断を余儀なくされたため。
Expenditure Plan for Carryover Budget	平成27年度中に移転とそれに伴う新しい運用方法見直しは完了し、研究を再会できる見通しが立っている。すでに研究成果が昨年度も2つの欧文論文として結実しており、研究年度終了までには有効に活用できる見込みである。