2013 Fiscal Year Research-status Report
蛍光共鳴エネルギー移動を利用した迅速かつ簡便なテロメラーゼ活性測定法の開発
Project/Area Number |
25460708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
村嶋 貴之 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (20263923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テロメラーゼ / 蛍光共鳴エネルギー移動 / ガン診断 / TRAP assay / G-quadruplex |
Research Abstract |
テロメア鎖の相補鎖である12merのオリゴヌクレオチド(CCCTAACCCTAA)の5’末端側に蛍光色素(FAM)を結合させた化合物をプローブとして用いることで、サンプル中のテロメア鎖の総量を測定することができた。実際の手法は、モデルとして種々の長さのテロメア鎖を任意の濃度で混合した溶液(モデル試料)やHeLa細胞からの抽出液(実試料)について、含まれる酵素の失活などの必要な処理の後、プローブ溶液とインターカレ―ターとしてのエチジウムブロミド(EB)を混合し、蛍光を測定するという極めて簡単な手法である。この手法の原理は、テロメア鎖と二重鎖を形成したプローブについては、FAMとEB間のFRETにより消光が起こるのに対し、溶液中にフリーで丼剤するプローブはFRETを起こさないことから、蛍光消光率が大きいほど、テロメアの総量が多いことになる、というものである。 モデル試料では、48merのテロメア鎖に換算して1.2 nMまで検出可能であり、HeLa細胞抽出液を用いた場合には、400 cells以上であれば有意にテロメラーゼ活性を測定することが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記載したモデル試料を用いた手法の最適化、および実試料を用いたテロメラーゼ活性を指標とする「癌細胞と正常細胞の識別」について、ほぼ当初の目的を達成しており、こうした研究結果をOrg. Biomol. Chem., 2014, 12, pp. 936-941.にまとめることができた。また、本研究に関連して、J. Phys. Chem. B, 2014, 118, pp. 2605-2614. Methods, 2013, 64, pp. 19-27. Molecules, 2013, 18, pp. 11751-11767. Biochemistry, 2013, 52, pp. 5620-5628. などの報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においてこれまで開発してきた手法は、テロメラーゼ活性が高い程蛍光が消光される、という、いわばシグナルOFF型のガン診断手法である。したがって、その原理からバックグラウンド蛍光などによる感度の低下が懸念されるため、「テロメア鎖の総量が多い程蛍光強度が強くなる」、すなわちシグナルON型のセンシングへと発展させることが望まれる。そのため、今後の研究推進の方向と方策については、これまでに用いたものとは発光原理の異なる蛍光色素を開発し、それらを用いたテロメラーゼの活性測定法の開発について検討する。 現在のところ、もちいる蛍光色素の発光原理として、凝集誘起発光特性を有する色素の利用を検討している。 また、ガン細胞中のテロメア鎖を検出することでガンの診断を行う、というコンセプトは、「ガンという疾病において特徴的に増加する物質をセンシングする」ということであり、同様の関係はアルツハイマー病とAβの間にも成立するため、同じような考え方でAβのセンシングに利用可能なセンシングシステムの開発についてもチャレンジする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進展にあわせて平成25年度に備品(サーマルサイクラー)を購入の予定であったが、研究が当初予想したものとは少し異なる方向に進展したため、別の検討を行った。その結果、サーマルサイクラーは平成26年度購入の予定となった。 申請時の計画のうち、一般消耗品等については計画通り使用する。平成25年度の未使用額はおもに備品であり、購入が平成26年度にずれ込んだので、平成26年度に購入する予定である。
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