2015 Fiscal Year Annual Research Report
膜小胞を介した癌の情報伝達機構の解明と腫瘍マーカー探索のためのプロテオーム解析
Project/Area Number |
25460715
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
久米 秀明 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, プロテオームリサーチプロジェクト, 研究員 (50322714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 久裕 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20282486)
朝長 毅 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, プロテオームリサーチプロジェクト, その他 (80227644)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロテオーム / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
exosomeやmicrovesicleと呼ばれる細胞外小胞は、細胞間の情報伝達に重要な役割を持つと考えられている。細胞外小胞は、血液や尿、唾液などにも多く存在し、その膜構造に内包される産生細胞由来のタンパク質や核酸は体液中においても比較的安定であることが予想されることから、新たなバイオマーカーのリソースとしても着目されている。本研究では、大腸癌の早期診断や再発予測に有用な新規の腫瘍マーカータンパク質を明らかにすることを目的として、大腸癌患者および健常者の血液から調製した細胞外小胞画分のプロテオーム解析をおこなった。 我々は、大腸癌組織から調製した膜画分のプロテオーム解析で、癌の進行に伴い発現変化するタンパク質を同定し、Selected Reaction Monitoring (SRM)法を用いた検証をおこなうことで、多数の腫瘍マーカー候補タンパク質を既に見い出していた。そこで、本研究では、それらのマーカー候補タンパク質について、血中細胞外小胞画分での解析をおこなった。転移なし、または転移ありの大腸癌患者および健常者の血清から超遠心法で調製した血中細胞外小胞画分をトリプシン消化後、SRM法により解析した結果、20種類のマーカー候補タンパク質が検出された。その中の3つのタンパク質は、健常者や転移のない大腸癌患者に比べて、転移のある大腸癌患者の血中細胞外小胞画分で有意に増加していたことから、転移・再発を予測するマーカーとなる可能性が示唆された。さらに、別検体セットを用いた解析をおこなったところ、転移の有無に関わらず、健常者に比べて、大腸癌患者で有意な増加がみられた。また、初期の大腸癌患者でも有意に増加し、既存の腫瘍マーカーと組み合わせることで、感度良く癌の有無を判定するマーカーとなる可能性も示唆された。
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