2014 Fiscal Year Research-status Report
選択反応時間と手のふるえ測定により環境有害物質の神経影響評価を精緻化する研究
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25460736
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岩田 豊人 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00321894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 勝敬 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80157776)
堀口 兵剛 北里大学, 医学部, 教授 (90254002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 手のふるえ / 単純反応時間 / 選択反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中有害物質は、人に健康影響を及ぼさない曝露量の最大値(NOAEL)またはこれに相当する量(BMDL)を考慮して制御する必要がある。これまで有機溶剤や重金属の神経運動機能影響を定量的に検討するために用いられてきた方法に、手のふるえ検査と反応時間検査がある。すなわち、手のふるえには大脳基底核、扁桃体から末梢の神経・筋、血管の脈動等までが影響しており、反応時間には知覚、注意、認知、運動に関わるシステムが影響している。当研究は手のふるえ、反応時間の測定精度を上げたうえで、有害環境物質の影響を詳細に検討する。 手のふるえ、反応時間の測定精度を上げ、測定値に影響する要因を検討する過程で、次の事が明らかになった。呼気の再呼吸によって末梢動脈酸素濃度が5%低下するまでの40秒間の経過中に手のふるえを測定したところ、10Hz以下のふるえ強度が増加し、10~14Hzのふるえ強度には変化が認められなかった。すなわち抹消組織の酸素濃度低下もしくは二酸化炭素濃度上昇は特定の周波数の手のふるえ強度増加をひきおこす可能性がある。 反応時間の測定条件を検討する一環として古典的なストループ課題に対するエタノール摂取(呼気中濃度0.25mg/L)の影響を対象者10名に対して検討した。摂取前後の反応時間差にエタノールとジュース間の差は認められず、これまでエタノール摂取による急性影響に単純反応時間の影響が出にくいとされている事が再確認された。このような場合に対してより困難な課題を用いる必要のあることが知られた。 今後、これらの指標に及ぼす環境中有害物質の影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
測定対象者を依頼する予定であった企業との連携がうまくいかなかったため、調査の開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
有機溶剤曝露作業者を対象に、曝露指標としての作業歴、尿中代謝物濃度、気中濃度の測定値と、手のふるえおよび反応時間との関連を、生活習慣に関わる交絡要因も考慮しつつ検討する。
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Causes of Carryover |
測定対象者を依頼する予定であった企業との連携がうまくいかなかったため、調査の開始が遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査対象者数を増やして検討する。また、尿中代謝物、血清脂質濃度等、曝露や交絡因子についてより有効な情報が得られる項目を追加して測定する。
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