2015 Fiscal Year Research-status Report
超低被ばく検査を実現するPET/CTシステムの要素技術開発
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25460751
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (40623054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (80403070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CT / dual-energy / 被ばく / 核医学 / 減弱補正 / 仮想単色CT / PET / SPECT |
Outline of Annual Research Achievements |
PET/CT検査における放射線被ばくには,PET用放射性薬剤による内部被ばくと,X線CTによる外部被ばくが含まれる.本研究課題では後者での被ばく低減に重きを置いており,今年度はおもに減弱補正を目的としたCT画像の被ばく低減と精度向上の両立について検討した.減弱補正とは,PET放射性薬剤の投与によって体内から発せられる光子(消滅放射線)を体外のPET検出器で撮像する際,人体組織による消滅放射線の減弱を推定・補正することをいう.PET撮像に前後して撮影されるCT画像の濃淡値,すなわちCT値はX線の体内での減弱効果を反映したものであるため,この情報をもとに消滅放射線の減弱効果を推定する.ただし,X線のエネルギーは連続的な分布をもっており,低エネルギー成分ほど人体内で強い減弱を受ける.高原子番号の人工物(手術材料や造影剤など)ではその現象はより顕著で,CT値の精度を著しく低下させ偽像の原因となることに加え,減弱によって体内でエネルギーを失ったX線はCT画像の生成に寄与しない「無駄な」被ばくをもたらす.この問題を解決するため,X線管に印加する電圧を高低2種類とし,それぞれの電圧で得られたCT画像をもとに「エネルギー選択的画像再構成」を行うことで精度のよいCT値の取得を試みた.さらに高電圧を印加したX線管には金属性のフィルタを付加し,CT画像に寄与しない低エネルギー成分を吸収させることで被ばく低減を試みた.提案法の実現可能性を,人体を模擬した水ファントムを用いて実験的に検証した.この際,ファントムにはCT画像に偽像をもたらす原因物質として高濃度ヨード造影剤を隣接配置した.その結果,提案法は従来法よりも低線量で高精度なCT値を得ることが可能であった.さらにファントム内に放射性薬剤を封入し,その分布を推定した結果においても,提案法は従来法よりも高精度な放射性薬剤分布を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の重要実験課題であった低線量かつ高精度な減弱補正用CTについての研究成果は,すでに国際誌に論文を投稿し,受理,公表されている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については,今年度の成果も含めて計3編の査読付き論文を公表しているが,これまでの研究結果をさらに緻密に検討し,必要に応じて追実験を加え,より完全なものとするための検討を加えていきたい.とくにファントム実験や計算機シミュレーション実験等には,検討を加える余地が残されており,さらに当初の研究計画で言及していた放射線治療用CTへの応用やMRIの活用についても引き続き検討を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
今年度は,計算機シミュレーションやファントム実験,視覚評価実験等を実施する予定であったが,CT減弱補正に関する実験を集中的に行い成果発表に結びつけることを優先したため,前記実験のための機材の購入を見送ったことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
コンピュータ,ソフトウェア,ファントム,デジタルカメラなどの記録機器等,上記実験の遂行に必要な物品を調達するとととに,得られた研究成果の発表費用(旅費,参加費,論文投稿費用など)に充当する.
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