2015 Fiscal Year Research-status Report
コチニール色素によるアナフィラキシー その検査法の確立と症例解析
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25460764
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
竹尾 直子 大分大学, 医学部, 講師 (30423693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 伸一 同志社女子大学, 臨床薬学教育研究センター, 教授 (30359749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コチニール色素アレルギー / プリックテスト / 特異的IgE抗体 / 2D-Western blot法 / 38kDa豊富分画 / カルミン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画と実施状況:①広報活動、②皮膚テスト(プリックテスト)用試薬の作成と提供、③各医療施設での検査、④CAP-RAST法による特異IgE抗体の測定、⑤抗原同定と新しいELISA法の開発、⑥各医療施設は『コチニール色素アレルギー情報入力サイト』に登録、⑦症例の集積・解析、⑧学会報告・論文投稿
①は終了している。②④:コチニール色素抽出液、コチニール色素を含む食品のプリックテスト、コチニール色素特異的IgE抗体の測定は有用で、特に特異的IgE抗体は、抗原回避により陰性化した症例の経過を追うのに有用である。一方、プリックテスト、特異的IgEともに偽陰性の症例が存在した。⑤:藤田保健衛生大学で行われたコチニール色素抽出液と患者血清中のIgEとの反応をみる2D-Western blot法は有用であり、38kDa領域の反応が強い症例ほど、特異的IgE抗体価は高く、ELISA法での反応が強くみられた。38kDa領域以外にも陽性スポットがみられ、症例ごとにパターンが異なった。一方で、コチニール色素抽出液でのELISA法では、2D-WB法で38kDaの反応性の強い症例のみ陽性を示し、全体的に反応性が低かった。⑦:期間中の新規国内症例の登録は7症例あり、6症例が成人女性、1症例が10歳の男児であった。5症例でアナフィラキシーを発症した。原因と考えられた食品は3症例で魚肉ソーセージ、2症例でイチゴミルク、マカロンであった。プリックテスト陽性症例は診断確実例どし、CAP-RAST法による特異的IgE抗体はclass2以上は診断確実例としたが、10人の健常人で抗体価が<0.1UA/mlであったことから、class0-1であっても、抗体価が0.1UA/ml以上であれば、疑い症例として、経口負荷試験や好塩基球活性化試験などを行った方がよいと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的は感度の高いELISA法の確立であるが、コチニール色素抽出液での2D western blot法やELISAはいずれも有用ではあるものの、反応性は低く、より感度の高いELISA法の確立が求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
38kDa豊富分画、カルミン酸でのELISA法を確立し、現在のコチニール色素抽出液でのELISA法よりも、さらに高感度のELISA法を確立する。 課題 さらには、リコンビナント蛋白質を反応させ、ELISA法で反応の差の有無を確認したいが、1年の期間では時間的に困難と思われる。
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Causes of Carryover |
コチニール色素抽出液でのELISA法での反応性は低く、より、感度の高いELISA法の確立が必要と判断したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
38kDa豊富分画、カルミン酸でのELISA法を確立する。<乾燥メスエンジムシの虫体から38kDa豊富分画の抽出>雌のエンジムシの粉砕乾燥虫体から20mMTris-HCl溶液にて蛋白質を抽出し、10%硫安沈殿することにより38kDaの蛋白質を多く含む溶液を採取できることは、確認している。MW3000のフィルターを用い、繰り返し限外ろ過を行うことにより、赤色色素成分のカルミン酸(分子量492)を取り除く。さらに、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより、可能な限り38kDa以外の蛋白質を除き、38kDa豊富分画を抽出する。<精製カルミン酸の精製>国立医薬品食品衛生研究所から提供して頂いている。
上記による、ELISA法を確立し、現在のコチニール色素抽出液でのELISA法よりも、さらに高感度のELISA法を確立する。精製カルミン酸でのELISA法は分子量が492と小さいため、カルミン酸をアルブミンなどの蛋白質に結合させて、固相化を行う。
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