2015 Fiscal Year Research-status Report
地域の総合的自殺対策の科学的政策評価と新たなベンチマーク評価指標の開発
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25460790
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
本橋 豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10174351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸司 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (40463806)
佐々木 久長 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70205855)
金子 善博 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自殺対策 / 改正自殺対策基本法 / 地域特性 / 質的評価 / 地域自殺対策推進計画 / 基礎自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の自殺総合対策の政策評価を行うための事例研究を行った。平成27年度中に京都府は自殺対策条例に基づく自殺対策推進計画の策定を行ったが、研究代表者はオブザーバーとしてその施策立案プロセスを追跡し、科学的評価とベンチマーク指標選定の政策プロセスを観察した。計画では、自殺対策の理念の明記、部局横断的な体制整備、各アクターの責務規程の整備、京都いのちの日の策定などが主要な柱だった。地域独自の特色ある取組として若年者雇用支援に関する連携体制の強化、臨床宗教師の活用が盛り込まれた。自殺対策のベンチマーク指標としては自殺率が議論されたが、最終的評価指標としてその他の指標を活用すべきとの意見は少数であり、自殺率以外の指標は採用されなかった。 地域総合自殺対策の推進のための新たなベンチマーク指標としては、単一の指標ではなく、地域特性を基礎自治体の担当者が一目瞭然に理解できる地域総合特性把握表を作成することが望ましいとの意見が、研究班の班会議で議論された。それを受けて、警察庁の自殺統計と関連する官庁統計の統合を図った上で、人間ドックで示される個別結果のように視覚的に理解しやすい地域診断システムの開発が有用であると考えられることから、その基本コンセプトを構築した。すなわち、地域の性・年齢・職業別の自殺率と地域の関連性を有する社会経済福祉指標を見開き頁で視覚化し、市町村レベルの担当者の理解が容易な地域自殺総合対策特性把握表を作成することが有用であるとの考察を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の最終年度にあたり、本研究の最終目的である地域総合自殺対策を評価する上での新たなベンチマーク指標を作成するという目的は達成可能な段階まできた。しかしながら、平成28年3月22日に成立した改正自殺対策基本法と自殺対策改革は、現在の自殺対策の枠組みを大きく変えるものとなっており、本研究の最終目標においても大きく影響するものである。今後の自殺対策においては、市町村ごとの地域特性を把握した上で地域自殺対策推進計画を策定することが義務づけられ、地域特性をどのように把握するかについての学術成果の活用がきわめて重要となる、本研究課題はこのような社会のニーズに応えるものであることから、新たな自殺対策の枠組みの中で、最新の動向を踏まえた最終成果を迅速に報告することにしたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域総合自殺対策を進める上で重要となる地域特性の把握を、地域総合自殺対策特性把握表の開発により実現し、今後の地域自殺対策推進を図る上での新たなベンチマークとする。そのためには、すでに基本コンセプトが構築できた把握表の細部を詰めることにより、平成28年度上半期にはその完成を図る。そして、その把握表を基礎自治体に提供するための方略を下半期で行い、研究目的を達成する。
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Causes of Carryover |
本研究は地域自殺総合対策の新たなベンチマーク指標を開発するという研究であるが、平成28年3月22日に成立した改正自殺対策基本法により、従来の地域自殺対策の枠組みが大きく改革された。そのため、これまで本研究で行ってきた研究成果については、新たな法改正に基づく体制整備との整合性を踏まえて、最新の成果物を示す必要がある。そのために、平成28年度において研究を継続し、新たな国の施策動向とニーズにこたえられる研究を引き続き行い、その成果をただちに社会に還元することをめざす。次年度使用額が生じた理由は以上のようなものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果公表のための学会参加に関わる費用、ならびに研究成果を取りまとめるための研究補助員の雇用に関する費用に当てる計画である。
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Research Products
(6 results)