2015 Fiscal Year Annual Research Report
Webマイニングによる新たな感染症流行予測手法の開発と危機管理支援システムの構築
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25460801
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 仁 鳥取大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (00176439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / インフルエンザ / インターネット / SNS |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症の発生については、国立感染症研究所が主導する感染症発生動向調査に基づいてデータが収集され、感染症危機管理の重要な情報源となっている。しかしながら、現在の発生動向調査は現況の提供のみであり、流行予測の機能は無い。我々は発生動向調査の更なる有効活用を企図して発生動向調査データを用いた流行予測の試みを行った。 2000年以降のインフルエンザ報告件数約4万件を収集して資料とした。流行予測については、SPSS時系列分析パッケージの単純季節モデルおよび、最近隣法を用いて分析を行った。推定モデルの適合度は平均絶対パーセント誤差(MAPE)を用いて評価した。全国平均の報告数データに対して単純季節モデルおよび最近隣法の二つの方法を用いて求めた予測結果と実際の報告値とのMAPEは、単純季節モデルの場合が5.1で、最近隣法の場合が0.67で、最近隣法が単純季節モデルよりも予測精度が高い結果が得られた。 発生動向調査では、情報の収集から公表まで約2週間の遅れがあることが問題とされている。最近、インターネット上のビッグデータを用いていち早く感染症流行の兆候を見つけ出そうとする試みが注目されている。今回我々は、2013年11月から2015年4月の間に投稿されたTwitterの投稿から「インフルエンザ」という単語を含んだ記事約200万件を抽出し、インフルエンザの報告数との関係を調べたところ、両者の相関係数は0.84であり、強い相関関係が認められた。ツイート数を独立変数に、インフルエンザの報告数を従属変数にして回帰分析を行い、求まった回帰式からの推定値と実際のインフルエンザ報告数とを比較したところ、MAPEは9.6であった。 特徴的なこととして、実際の流行が立ち上がる前にツイート数の増加が見られることから、Twitterのデータはインフルエンザの流行を早期に検出する指標となりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)