2014 Fiscal Year Research-status Report
職場のソーシャル・キャピタル醸成を目的とした介入評価および発展的活用の基盤整備
Project/Area Number |
25460802
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高尾 総司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (50335626)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 健康 / 職場 / 運動 / 信頼 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャル・キャピタル(SC)と健康との関連は主として地域住民において実証されてきたが、地理的集団ではない職場のような機能的集団における実証的研究も期待されている。本研究では職場におけるSCについて、介入によるSC醸成の評価を行うこと、さらに将来的に企業自身も職域健康データを資産として活用できるような仕組みの基盤整備を目指す。 本年度は、主として介入内容の再検討と協力企業募集の方法を再検討した。介入内容については、企業の運動会を企画する専門会社があり、当該会社はアウトカムを生産性とみなしているようであるが、運動会によりチームワークを構築する過程は、ソーシャル・キャピタル醸成と共通する部分もあり、この場合アウトカムを健康とみなすことができると考えられた。これまでは具体的な介入内容についての提案がなく、協力企業と一緒に試作するという方法が受け入れられにくかったため、上記の視点をもとに、具体的な内容を煮詰めることとした。企業募集については、ストレスチェック制度の施行などのタイミングと重なり、他の調査等と重複することから、企業の協力が非常に得られにくかった。そのため、協力企業募集の方法についても、直接的に研究協力企業として募集するだけでなく、協力機関が他の目的で確保している企業に、追加で依頼するなどの方法に加え、雑誌記事等を通じて広く案内する方法についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介入内容および募集方法の再検討が必要となり、研究計画全体に若干の遅れが生じた。一方で、少なくともソーシャル・キャピタル(SC)測定項目は決定しており、研究デザインそのものについては確定できている。そこで、当初研究計画においては、介入内容そのものについてはある程度柔軟にとらえ、協力企業との協議の中で絞り込んでいく予定としていたが、少なくとも複数の介入内容については、厳密な意味での健康をアウトカムとしたエビデンスは無くとも、理論的に期待しうる内容について、幅広く整理した。結果として、チームビルディングを意図したような「運動会」、チーム作業を必須とする「農作業(体験)」、また、若干ビジネス寄りすぎる嫌いはあるものの、「7つの習慣」で有名な著者の「スピード・オブ・トラスト」「信頼マネジメント」を参考にした内容(SCの構成要素の中でも信頼だけに焦点をあてることになってしまうというマイナス面もあるが)の三種類を分かりやすくまとめ、提案できる準備をした。企業募集にあたっては、これまでの健康にウエイトをおいた説明内容に、上記のようなビジネス的内容を加えるとともに、募集方法も説明会方式ではなく、商業誌への紹介記事やインタビュー記事の機会を用いた案内も行うよう準備した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力企業の募集については、個別の依頼を含めて引き続き検討を行う、調査期間等の制約はあるものの商業誌への記事における案内等も活用しながら、できるだけ多くのサンプル数が確保出来るように努める。 一方で、介入の実施については、介入方法は具体的に絞り込むことが出来たことから、予算制約も勘案しつつ、運動会または農業体験について、提供してくれる組織との打合せを進めるとともに、すでに確保済みの企業においての介入実施と介入後評価を進める。また、運動会以外でも部署対抗リレーや駅伝等のすでに定期的に実施されている社内行事に際して、実施前後において、可能な限り何らかの対照群を設定のうえSC指標を用いた評価を行うことを提案する。現時点で200名規模の社内行事についての評価について検討中である。こうした社内行事の会社経営層への単なる経費支出を超えた効果の提示の一つとしてSC指標の改善による生産性向上と健康維持の側面をわかりやすく紹介する。 企業が社員の健康データを自ら活用するという枠組みは、健康保健組合にあってはデータヘルス事業への対応に追われ、また企業本体でも12月施行のストレスチェック制度への対応に追われる中で、交渉が容易ではない。そこで、視点を変えストレスチェック制度への対応方法の中に、職場のSCを用いた評価方法を組み込むことで広い意味で、健康データを活用できる基盤整備の基礎的促進に貢献できるよう検討を進める。
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