2014 Fiscal Year Research-status Report
インジウム作業者の毛髪汚染 - インジウムの毛髪付着ダイナミクス研究
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25460806
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平田 美由紀 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30156674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 昭代 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10136484)
田中 茂 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60171758)
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70384906)
米本 孝二 久留米大学, 付置研究所, 講師 (90398090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インジウム / 毛髪 / 作業者 / 曝露 / 放射光分析 / XAFS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) インジウム作業者の個人曝露インジウム濃度と毛髪インジウム汚染: インジウムターゲット製造事業場のインジウム取扱い作業者について、個人曝露濃度モニター計を装着して、毛髪採取を同日に行い、個人曝露濃度と毛髪外部汚染量の関連性について調べた。採毛は以下の2回、曝露モニター計を装着する朝の始業時と、モニター計を脱着する夕方の就業時に行った。インジウム作業者29名は作業する区域の作業環境濃度3区分別(低中高濃度区域)に分けて分析を行った。就業時の毛髪濃度から始業時の毛髪濃度を差し引いた値を1日毛髪負荷濃度とみなした。吸入性インジウム個人曝露濃度が高くなるにつれて、毛髪濃度は始業時と就業時ともに曝露濃度に比例して高濃度を示し、量反応関係が認められた。また、毛髪に付着したインジウムは洗髪では完全に除去できないことが示唆された。 (2) インジウム作業者の毛髪断面分析: 毛髪に付着したインジウムの存在部位を調べるた毛髪断面剥片を作成した。高輝度光科学研究センターの大型放射光分析施設 SPring-8のビームラインBL37XUを利用して、インジウムのマイクロビーム蛍光X線イメージング分析を行い、インジウムの分布解析を行った。ITO作業者毛髪、インジウムリサイクル作業者毛髪、塩化インジウム浸漬毛髪、酸化インジウム付着毛髪のいづれも毛髪表面キューティクル部位に存在していた。【SPring-8採択課題:2014年B期1380】 (3) 毛髪付着インジウムの状態解析: 九州シンクロトロンセンターのBL06を用いて、毛髪に付着したインジウムの化学状態解析を行った。分析にはインジウムのX線吸収微細構造解析(XAFS)により、インジウムは毛髪に物理的に付着しているだけではなく、毛髪成分と化学吸着していることが分かった。【SAGA-LS2014Ⅱ期採択課題KO18】 以上から、頭髪がインジウムに汚染されないように化学防御対策を講じるのは重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インジウム付着/吸着毛髪の放射光分析については、SPring-8及び九州シンクロトロンセンターのビームラインの使用が許可されて分析を行うことができた。 ① 【SPring-8/BL37XU 採択課題2014B1380】実験利用2014年11月: マイクロビーム蛍光X線イメージングを用いた毛髪表面及び断面におけるインジウムの分布解析 ②【SAGA-LS/BL06】実験利用2014年9月: 蛍光XAFSを用いた毛髪中インジウムの状態解析
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究を計画している。 (1) 個人曝露濃度と毛髪濃度の関係について 26年度に得られたのは、4μm以下の粒子径の吸入性インジウム粉じんと毛髪インジウム濃度について結果を得たところである。個人曝露測定については、分級後にフィルターに捕捉されたインジウム=吸入性インジウム粉じんだけではなく、分級装置に付着していた4μmより大きいインジウム粉じんについても捕集していた試料があるので、この分析を進め、個人曝露総インジウム濃度と毛髪インジウム濃度の関係を調べる予定である。 (2) 頭髪防じん方法の検討 インジウム曝露から毛髪曝露を防護するための方策として、防じん帽の着用が考えられる。防じん帽着用による毛髪濃度の減少が認められるか、通常の布作業帽やヘルメットの着用と防じん効果を比較検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度にインジウム事業場の環境調査と毛髪調査を行う計画を立ており、その計画に充てるため、繰り越しを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記研究計画に対して、旅費の支出を主に想定している。
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Research Products
(23 results)