2013 Fiscal Year Research-status Report
南アジアにおけるフィスチュラ治療による生活の質の改善:ポストMDGsの女性の健康
Project/Area Number |
25460807
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松山 章子 長崎大学, 国際健康開発研究科, 教授 (70404233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 聰 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
青山 温子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40184056)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フィスチュラ / 妊産婦疾病 / 子宮脱 / 尿失禁 / バングラデシュ / QOL / 健康希求行動 |
Research Abstract |
初年度は、先行文献から情報収集して現状を把握することとと、それを踏まえてバングラデシュにおける研究協力機関、研究者等と意見交換を行いつつ、研究プロポーザルを作成し、日本及びバングラデシュで倫理審査を受けることを目標としていた。しかし、平成25年夏ごろからバングラデシュにおける政情が悪化(平成26年1月の大統領及び国政選挙を控えて、ジェネラルストライキの多発による死傷者の続出)し、外務省危険情報でも渡航を控えるよう勧告がなされ、(平成25年度後半は)かろうじて一度バングラデシュに渡航したものの、研究活動は実質上滞った。そのため、研究の目的である妊娠、出産に関わる疾病(フィスチュラ、子宮脱、尿失禁)の世界的状況、特にバングラデシュにおける各疾病の有病率、リスク因子、QOLに関わる研究成果等に関して文献を読み、比較検討することから現状把握に努めた。バングラデシュでは、MDG目標5(妊産婦の健康の改善)に向けて、様々な取り組みが進み、特に妊産婦死亡の低下(2015年までに1990年のMMRを4分の3に削減)という点では、MDGsモニタリングレポートにおいても2015年までに目標を達成するであろうと予測されていた。最新(2013年)のWHO発表によると残念ながらMDG5目標達成までには至らないものの、「順調に進捗している国」の一つとして妊産婦死亡の改善が確認された。一方で、妊産婦死亡1人に対して、20人から30人といわれる「死亡を免れるものの、生涯にわたり大きな影響を与える疾病、障害に苦しむ女性」の現状に関しては、小規模調査、あるいは特定の集団に特化した調査は散見されるものの、纏まった研究がなく、その実態も明らかにされていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅れている最大の原因は、平成25年~26年にかけてバングラデシュで政治状況が悪化し、頻発するジェネラルストライキなどにより死傷者が出て、外務省も渡航を控える勧告をだしていたため、現場における研究協力者との意見交換や情報収集ができず、倫理委員会に提出するための研究計画書の作成が遅延していることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュの政治状況は不確定様相が残るものの一時より改善しており、渡航も可能となった。現在バングラデシュの研究協力者との打ち合わせをスカイプ等で行いながら、平成26年度は、研究実施のための、研究計画書の最終版確定、日本(長崎大学国際健康開発研究科)とバングラデシュ(BRAC大学公衆衛生大学院)の倫理委員会に提出し、承認を少なくとも夏までには受ける予定である。承認後は、研究計画に従いダッカ郊外地域において、フィスチュラ、子宮脱、尿失禁の有病率調査、患者のQOL把握、患者や家族、コミュニティの住民の疾病に関する認識、伝統的病因論、ケア希求行動等に関して研究をするためのデータ収集のためのチーム編成、データコレクターの訓練等を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年~26年にかけてバングラデシュの政情不安により(国政選挙を控えてジェネラルストライキが多発、死傷者を伴う事件の続発など)、外務省からの渡航を控える勧告が出て、バングラデシュへの渡航が不可となり、活動ができなかった。 平成26年度現時点では、渡航が可能であり、10カ月近く遅れで、計画活動は再開し、活動を進めていく予定である。
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