2015 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおけるフィスチュラ治療による生活の質の改善:ポストMDGsの女性の健康
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25460807
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松山 章子 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (70404233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 聰 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00342907)
青山 温子 名古屋大学, 大学院医学系研究科国際保健・公衆衛生教室, 教授 (40184056)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産科瘻孔 / 子宮脱 / 尿失禁 / 会陰裂傷 / 産科疾病 / 女性の健康とQOL |
Outline of Annual Research Achievements |
バングラデシュにおけるここ数年の政情不安(特に昨年度日本人を含む外国人殺害事件など)により研究計画の実施が遅れた。しかし、当該国での研究協力者とのスカイプ会議等での協議、また今年に入り精力的に活動を促進したことで遅れを取り戻し、現在データ収集終盤に入っている。プロジェクト実施地区(ダッカ郊外、ガジプール県)において、産科瘻孔、子宮脱、尿失禁等の女性の出産に関わる疾病、障害調査を実施した。 <データ収集状況> 1)訪問世帯数:165,129世帯、対象女性(出産経験者)総数:170,049人、コミュニティでの口頭質問による産科瘻孔疑い女性39人、口頭質問による子宮脱疑い女性1,059人、口頭質問による尿失禁女性:210人。2)上記で疾患疑いのある女性(尿失禁は除く)を病院へ紹介した総数:522人、産科瘻孔確定診断患者:2人、子宮脱確定診断患者:208人、会陰裂傷患者:220人、3)上位専門病院への紹介必要者:118人、産科瘻孔者:2人、4)子宮脱、産科瘻孔患者に関しては、QOL等の面談での質問紙調査を実施、5)質的調査としてそれぞれの疾病の患者および患者家族から数名を選んでインタビュー実施中。 <期待される主な成果> 主な対象地域はダッカ郊外の准都市部であることから比較的対象者の年齢が若いこと、そのため妊娠、出産回数が少なく、産科瘻孔患者は予想よりかなり少ない。一方で、当初対象としてなかった会陰裂傷の患者が多くいることが判明した。コミュニティレベルでの疑い患者発見率と病院レベルで確定診断を照らし合わせることで、有病率だけではなく、現在実施しているチェックリストの敏感度、特異度などが明らかになることが期待される。また、現在彼らのQOL、健康希求行動に関する情報を収集しており分析を進めており、これを基に、今後のコミュニティにおける健康教育等の効果的施策を提言することができると考える。
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