2013 Fiscal Year Research-status Report
食品成分併用による発癌二大シグナル伝達経路の阻害を介した癌予防法の開発
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25460809
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
与五沢 真吾 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70381936)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 食品 / 生理活性 / 衛生 / 社会医学 / 成人保健 / 悪性腫瘍 |
Research Abstract |
癌細胞の特性である無秩序な細胞増殖と細胞死抵抗性は、発癌二大シグナル伝達経路、MEK-ERK経路及びPI3K-Akt経路に依存する場合が多い。このような癌細胞に対し、食品成分を併用することでこれらのシグナル伝達経路を阻害し、増殖抑制や細胞死を誘導することで、微小がんの発達を抑え、癌予防の実現に寄与できるのではないかと考えられる。当該年度においては、MEK-ERK経路阻害効果が報告されているクルクミンの半量体構造をもつデヒドロジンゲロンの細胞増殖抑制効果のメカニズム、及び子宮体癌細胞における新規HDAC阻害剤とPI3K阻害剤の併用効果について、第72回日本癌学会学術総会にて報告した。 また、ヒト大腸癌由来HT-29細胞において、MEK-ERK経路を阻害するという報告のある食品成分と、PI3K-Akt経路を阻害するという食品成分とを併用することにより、細胞死が誘導される組み合わせを見出した。フローサイトメトリーによる解析で、その原因はアポトーシスの増加と考えられるが、今後はウエスタンブロット等によりその際の分子メカニズムについて調べて行きたい。 さらに、わが国で樹立されたヒト胆管癌由来TK細胞を入手し、MEK-ERK経路及びPI3K-Akt経路の活性化、及びそれぞれの阻害剤の感受性について検討を開始した。胆管癌は日本のオフセット印刷工場での相次ぐ患者の発生により、新しい職業癌として注目を浴びている。胆管癌細胞に対しても、発癌二大シグナル伝達経路阻害効果をもった食品成分が有効かどうか今後検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い、新たに研究環境の整備(研究設備、研究試料の調達などを含む)が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
フローサイトメーターをはじめとする機器の変更等により、実験結果の条件が異なる可能性があり、異動先で確認する必要が生じている。まず諸条件を確定することに全力を傾注したい。また、ヒト大腸癌細胞における研究に加え、ヒト胆管癌細胞における発癌二大シグナル伝達経路の阻害効果についても検討し、食品成分の効果的な併用による予防法の開発を目指していきたい。効果のあった大腸癌細胞と同様のシグナル伝達経路に依存して増殖する細胞であれば、胆管癌細胞に対しても効果があると考えられる。胆管癌は日本のオフセット印刷工場で相次いで患者が発生しているが、大腸癌細胞での知見が胆管癌予防にも活かせれば有意義であると考えられる。昨年度貴重なヒト胆管癌細胞株を入手できたので、これを用いて胆管癌にも有効な食品成分の併用法を確立したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
異動などの問題で研究に少し遅れが生じたため、初年度購入予定だった試薬類の一部を購入しなかったため 実験条件が整いつつあるため、昨年度購入予定の試薬を購入する。
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Research Products
(6 results)