2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢労働及び非正規雇用形態の高い清掃業務における作業改善と暑熱負担軽減
Project/Area Number |
25460823
|
Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
佐藤 智明 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30205942)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 辰樹 龍谷大学, 社会学部, 教授 (20268121)
榎原 毅 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50405156)
高西 敏正 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (90244673)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 労働安全衛生マネジメントシステム / 高齢労働 / 熱中症 / 清掃業務 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度測定した現状を元に、作業環境の改善として、大きく3点の改善策を実施した。まず暑熱環境を軽減する為の効果的な方策を立案した。これは清掃場所の2ヶ所の出入り口の内、通路側の入り口を解放し気流を確保しつつドーム側の入り口を閉め、ドーム側からの温熱を遮断した上で部屋のエアコンを活用し、室温を下げる試みを実施した。また現状調査より、清掃前の用具のある準備室の暑熱環境が特に厳しかったことから、この部屋に冷風機を導入し、除湿と室温を下げた。作業者の体温上昇を抑制する為に、魔法瓶の水筒に冷却したスポーツドリンクを入れ、一部屋清掃が終了する毎に必ず水分補給することを指示した。さらに摂水忘れ防止対策として、従来の清掃チェックシートに水分摂取の項目を追加した。尚、水分量は自由飲水とした。2つ目の対策として、作業姿勢の改善を提言した。特に窓清掃時の負担の訴えが高かった為、しゃがみ込み、前屈みの姿勢及び肩より高い腕の挙上を軽減する為、窓清掃専用のグラススクイジーを用いて、作業負担の軽減を図った。3つ目として、効率的な清掃を可能にする為、作業動線を見直した作業動線マニュアルを作成し統一化した。また清掃する部屋に、清掃用品の入ったカートを入れることができず、頻回に部屋と廊下を行き来していた為、使用頻度の高い清掃用品を入れるツールボックスを採用し、部屋に持ち込むことで無駄な行き来を減らした。以上の提案を作業員と管理者との三者のグループディスカッションで実施し、了解を得た。その後、3ヶ月間の慣行期間にも複数回のディスカッションを実施し、8月より効果測定を実施した。測定項目は、ベースラインと同様とし、自己記入式のVAS法による自覚症、VTR撮影による作業姿勢、体重、鼓膜温度、握力、環境温度、心拍数、脱水量、水分摂取量とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していた、スケジュールはほぼ終了することができた。具体的には、ベースラインのデータから、まず現場従業員とのディスカッションで得られた改善案の策定を実施した。その後、現場従業員への改善レクチャーを5月早々に実施した。そして5月から7月までを改善プログラムの慣行期間とした。その間も現場従業員の方々から、意見を聴取し、改善プログラムを調整した。8月には改善効果測定を予定通り4回実施し、現場従業員から一人につき2回の効果測定を実施することができた。またその実施においても、すべてベースラインと同じ項目を測定することができた。具体的には、自己記入式のVAS法(Visual Analogue Scale法)を用いた、作業内容の満足度・作業前後の局所負担・作業間の主観的疲労感や暑熱感、作業姿勢と作業中の移動距離測定の為のVTR撮影、体重、鼓膜温度、握力、環境温度、心拍数、脱水量、水分摂取量である。以上のデータはほぼパソコンへのデータ入力作業が終了した。なお、VTR撮影による作業姿勢については、5秒単位での姿勢をスナップリーディング法を用いて、現在入力中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
改善効果測定で得られたデータの内、まだ入力中のVTR撮影による作業姿勢については、5月中に終了する予定である。その後、平成25年に得られたベースラインのデータと平成26年に得られた改善後のデータを比較検討する為に、統計処理を実施し改善手法の有用性、有効性、便宜性を検証する。その後、この結果を現場従業員に報告し、改善から1年後の現状の意見交換を実施し、更なる改善を実施する。 研究成果については、最終年度となる平成27年度中に、産業衛生関連分野の学会や人間工学関連分野の学会にて発表を実施する。同時にその分野の専門誌に投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
人件費の中の測定協力者の謝金は、データの一部を卒業論文として活用する学生が協力者として参加した為、謝金が発生しなかった。また統計に関わるデータ入力も、共同研究者で実施した為、今回は費用が発生しなかった。今年は、改善効果を統計処理するための研究協力者の人件費発生、さらに複数回の国内、国外での学会の口頭発表、さらに論文作成及び投稿の費用が発生する。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定したデータ入力を5月中に終了させ、6月より本格的に研究協力者に依頼し統計処理を進めるために、人件費が発生する。また統計処理の結果が出た後、複数回にわたって、共同研究者とディスカッションする為の費用が発生する。その後、数回の国内外での学会の口頭発表、さらに論文作成及び投稿の費用が発生する。
|