2014 Fiscal Year Research-status Report
ニコチン酸及びその代謝関連酵素の血中濃度と循環器疾患リスクに関する地域疫学研究
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25460824
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
東山 綾 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 室長 (20533003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニコチン酸代謝酵素 / 生活習慣 / 血糖異常 / 動脈硬化 / 循環器疾患予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
篠山研究: 平成26年度は篠山市特定健診を受診した40から64歳の国民健康保険加入者808名を対象に、問診(飲酒状況、欠食・間食、身体活動、睡眠、服薬、循環器疾患やその危険因子の既往歴)、血中の1,5-アンヒドログルシトールおよび可溶型レクチン様酸化LDL受容体とそのリガンドの測定、塩分摂取量の推定、尿中L型脂肪酸結合タンパクの測定、CAVI(心臓足首血管指数、一部の対象者のみ。男性では足首運動負荷)を行った。またNampt測定に使用が可能な血清検体の凍結保管を行った。平成26年度は自治体でも関心が深くNamptと関連する可能性が高い血糖異常および動脈硬化や腎機能異常に着目し、情報収集と測定を行った。篠山研究における研究成果として、「血中n-3/n-6系多価不飽和脂肪酸指標と推定糸球体ろ過量の関係」を第73回日本公衆衛生学会学術総会で発表し、同内容についてJournal of Epidemiologyで論文の掲載が受理された。
神戸研究: 平成26年度は一般住民を対象とする疫学研究への参加希望者である514名に、生活習慣問診(喫煙、飲酒、食事)、皮膚の状態などに関する症状についての問診、循環器疾患とその危険因子に関する発症調査、特定健診で測定する採血項目にシスタチンCなどの研究用採血項目の測定、内臓脂肪面積やCAVIの測定を実施した。またNampt測定に使用が可能な血清検体の凍結保管を行った。神戸での研究対象者は、すでにコホート研究として追跡を開始している集団であり、平成26、27年度の2年間で合計約1100名に対し上記の内容で情報収集と測定を実施することになっている。神戸研究における研究成果として、血清脂肪酸分画と高感度CRPの関連を検討した原著論文をJournal of Nutirition, Health and Agingに投稿し、論文掲載が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、神戸、篠山の両方において合計約1300名の一般住民集団を対象に、疫学調査を実施するとともに、本研究課題であるニコチン酸の代謝関連酵素を測定できる血液サンプルと付随情報を収集することができた。 平成26年度に、ニコチン酸の代謝関連酵素であるニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(Nampt)を、神戸や篠山における初期の検体を使用し測定する予定であった。しかし平成27年1月より、Namptの測定キットが改良販売されることになったため、いったん製造販売が中止され、試薬の購入ができなかった。平成27年3月になっても測定キットが安定供給されていないため、試薬の安定性なども考慮して、試薬の購入を次年度に行うこととした。平成27年度に篠山や神戸の検体を利用し、一括でNamptを測定できるよう、試薬を購入する予定であり、研究費の使用状況は本報告書の通りとなった。 また篠山、神戸ともに原著論文を今年度は1本ずつ発表できており、以上を含めおおむね経過は順調と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も、篠山、神戸ともに疫学研究をこれまでと同様に継続し、Namptを測定できる血清検体を収集する。 平成27年度は本課題の最終年度であるため、過去に採取した凍結検体も利用しNamptの測定を行うとともに、検体に付随する生活習慣などの情報も使用して、生活習慣や血糖値などとNamptとの関係を、横断的、縦断的に解析を行う予定である。このためにはNamptの測定キットの安定性が保障されなければならず、引き続き製品のモニタリングを継続し、適切なタイミングで購入し測定を実施する。 また神戸、篠山ともに、過去に収集したデータを用いて、Namptに関連する生活習慣や測定値に関するデータ分析と論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度にNampt測定のための試薬を購入し、測定を実施する予定であったが、試薬が改良のためにいったん販売中止となった。改められた試薬の販売は平成27年1月下旬頃から開始されたものの、出荷にあたり製品チェック等の販売前の過程で時間を要し、順調に大量出荷できておらず、平成26年度末決済の締切までに日本に入荷する見込みがたたなかったため、平成26年度の試薬購入と測定を見送らざるをえなかった。 また平成25年度に研究代表者が所属していた兵庫医科大学から、平成26年度になり国立循環器病研究センターへ科研費を移行するための諸手続きに時間を要したため、一時的に支出が容易ではなくなったことも、研究費の使用計画が当初と異なった理由の一つと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、次年度使用額もあわせて、Namptの測定試薬の購入と検査会社へ依頼しての測定を行う計画である。 またNampt測定の対象となりうる検体を継続的に収集するために、神戸で約600名・篠山で約800名の住民を対象に、現地での疫学調査を続行する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Serum polyunsaturated fatty acid composition and serum high-sensitivity C-reactive protein levels in healthy Japanese residents: the KOBE study.2015
Author(s)
Kubota Y, Higashiayama A, Imano H, Sugiyama D, Kawamura K, Kadota A, Nishimura K, Miyamatsu N, Miyamoto Y, Okamura T.
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Journal Title
Journal of Nutrition, Health and Aging
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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