2013 Fiscal Year Research-status Report
災害ストレスに脆弱な母子に対する心理社会的支援とそのためのシステム構築
Project/Area Number |
25460826
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 講師 (10336191)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成 元哲 中京大学, 現代社会学部, 教授 (20319221)
守山 正樹 福岡大学, 医学部, 教授 (10145229)
田中 美加 東海大学, 健康科学部, 准教授 (70412765)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 原発災害 / 親子の健康 / 災害ストレス / 環境災害 / リスク |
Research Abstract |
平成25年1月に実施した福島市、伊達市、二本松市、郡山市、桑折町、国見町、大玉村、三春町、本宮市の3歳の子ども(2012年5月現在、6195人)を持つ母親を対象にした「原発事故後の親子の生活と健康に関する調査」に協力した2627名全員に対し、平成25年8月に「調査結果報告会・相談会」(以下、相談会)の案内状を送付した。相談会の時期、場所、内容(プログラム)を検討する段階では、福島県や各市町村の保健師、本研究の趣旨に賛同していただいた全国各地の医師や弁護士、音楽療法士、絵画療法士等との会合を重ねて決定した。相談会は当初、9月5日~13日まで計6回、福島市、郡山市、二本松市、伊達市で開催予定であった。ところが、予想に反して参加希望者が少ない事に加えて、法律相談、医療相談を希望する人は皆無であった。そのため、福島市・郡山市の2箇所に絞り、調査結果報告会と音楽療法士、絵画療法士等による親子のワークショップを9月7日と8日にそれぞれの市の公共施設にて実施した。 参加者は少なかったものの、調査対象者である親子と調査の実施主体である研究者、そして保健師が顔を合わせ、今後の福島の親子の生活向上のために、それぞれの立場から何が出来うるかを話し合ったことは、環境災害後の住民、そして地域再生の取り組みとして画期的な機会となった。今後も、こうした相談会に加えて、個別の聞き取り・面談等を継続的に実施し、関係諸機関との連携の下、災害ストレスに脆弱な母子を対象にした包括的な心理社会的支援体制を構築することを目標としたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、平成25年1月に実施した社会疫学調査の協力者に対して、関係諸機関との連携の下、相談会を実施出来た。また、個別の聞き取り・面談等を定期的に行い、災害ストレスに脆弱な母子の現状把握を行っている。このまま順調に来年度、再来年度も継続してこの取り組みを行うことで、本研究の目的である災害ストレスに脆弱な母子に対する心理社会的支援体制づくりに到達することは十分可能だと思われるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は、報告会の開催のため多大な時間と労力を費やしたが、参加者は予想に反して少数であった。これは、母親の放射能に対する対処・認識の違いが集団討論をすることによって明白となり、互いに傷つけ合うことを避けたいという心理が働いたことが推測された。しかし、母親は多くのストレスや怒り、行政や東電等に対する意見や要望を抱えていることは社会疫学調査結果からも明らかである。したがって、今後は方針を転換し、個別の聞き取り・面談を重視し、そこで得られた結果を関係諸機関に通知・連携することで、災害ストレスに脆弱な母子に対する心理社会的支援体制づくりを目指したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自助努力により、物品費を当初の計画よりも低く抑えたため。 次年度に有効に活用したい。
|
Research Products
(7 results)