2013 Fiscal Year Research-status Report
自閉症傾向の早期発見のための新しい指標と予防法の開発―食とアレルギーとの関連から
Project/Area Number |
25460830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
相良 多喜子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (30249164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
三辺 義雄 金沢大学, 医学系, 教授 (60181947)
人見 嘉哲 金沢大学, 医学系, 准教授 (70231545)
神林 康弘 金沢大学, 医学系, 講師 (20345630)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症 / 小児 / 食育 / 栄養 / アレルギー / 環境 / コホート / 予防 |
Research Abstract |
近年、自閉症スペクトラム障害と診断される児は増加傾向にある。子どものこころの健康に関する問題が増加し、多様化するライフスタイル、特に食行動や家族のあり方や親子関係を含めた子どもの成育環境に大きな変化が起こっていることが原因の一つとされている。我々は、幼児のこころの健康の関連因子を明らかにするために、金沢市内の保育園・幼稚園の園児、その保護者に対して家族の食生活の状況や子どもの生活習慣、心身の健康状態について調査を行った。金沢市内の保育園(11園)、幼稚園(18園)に通う3歳から5歳の園児1407名(男児730名、女児677名;回収率、保育園50.6%、幼稚園70.4%)とその保護者を対象として自記式質問票による調査を行った。こころの健康状態の把握には、日本語版自閉症スクリーニング質問紙(ASQ)を用いた。得られた結果は点数化し、子の性別および月齢、食行動について検討を行った。自閉症得点の高い群では、3歳以上で、性別(男女)、出産順位(第1子)の因子が有意に高く、兄弟数(無)、母親の喫煙、家族数(4人以下)、および、アレルギー疾状では、喘鳴、鼻アレルギーに有意差が見られた。自閉症スクリーニング調査の項目(39項目)と各アレルギー疾患について関連では、3歳以上では鼻アレルギー疾患、次いで喘鳴に有意差がある項目が多く、特に鼻アレルギー疾患を有する児は、自閉症診断項目である「極端に集中しているものがある」、「独特の物に対する興味」が有意に高かった。喘鳴を有する児は、「妙な言い回し」や「特定の言葉を繰り返す行為」に対して有意差が見られた。小児のこころの健康状態と生活環境因子および各アレルギー疾患には関連が認められた。包括的な幼児の心身の健康状態を把握するためには、多様な情報を得て、自閉症傾向児の早期発見や、より早期の予防を考えた指標の構築は急務であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は幼児のこころの健康の関連因子を明らかにするための疫学研究であり、食傾向とアレルギーを中心とした解析によって、関連因子の同定に一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、これらの因果関係を明らかにするためのコホート研究を構築中であり、子どものこころの健康に対する、より早期発見のための妥当性の高い診断ツールの開発と早期介入によるサポート体制の確立を行う必要があり、環境改善による予防法を開発する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
対象者の回収率が想定より若干少なかったため。 次年度使用額を用いて対象者をさらに増加させ、これを合わせてコホート研究を実施する。
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