2015 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌ワクチン導入による菌株遷移と新たな高病原性菌発生リスクの解析
Project/Area Number |
25460835
|
Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
河原 隆二 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (10332454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 一 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (30552806)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 肺炎球菌 / ワクチン / 侵襲性肺炎球菌感染症 / 保菌 / 薬剤耐性 / 遺伝子型 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実施した健康保育園児の保育調査で得られた肺炎球菌(保菌株)と、大阪府内で検出された侵襲性感染症由来の肺炎球菌(IPD株)について、血清型や薬剤感受性試験等の解析を実施した。 保菌株(359株)におけるワクチン血清型の割合は、4%と2011年に実施した同様の調査(18%)よりさらに減少傾向にあった。一方、非ワクチン血清型である15A型は31%と最も多く分離された。15A型は、国内の小児侵襲性感染症(IPD)において19A、24Fについで多い血清型である。そこで、保菌株とIPD株との関連性を検討するため、それぞれから15A型菌株を選択し、マクロライド(ermB, mefE)およびテトラサイクリン耐性遺伝子(tetM)の検出、pbp遺伝子解析とMLST解析を実施した。 薬剤感受性、薬剤耐性遺伝子、MLSTのそれぞれの結果は、保菌株とIPD由来株で非常に類似しており、さらに由来を問わずほぼすべての株がMLST: ST63となったことが特徴で、それぞれの関連性を強く示唆するものであった。この15A型・ST63というタイプは、国際流行クローンであるSweden15A-25と一致しており、このクローンが国内でワクチンによって選択され、健康小児とIPDともに広く蔓延しつつあることが推測された。15A型は小児・成人用ワクチンのいずれにも含まれておらず、今後こういった非ワクチン血清型の流行の可能性が示唆される結果であった。
|