2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害後における医療従事者の離職防止に関する研究
Project/Area Number |
25460858
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
米本 倉基 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (10390048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真野 俊樹 多摩大学, 医療介護ソリューション研究所, 教授 (20327886)
久保 真人 同志社大学, 政策学部, 教授 (70205128)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 福島原発事故 / 看護師離職理由 / ワーク・ファミリー・コンフリクト / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究は東日本大震災後の医師、看護師の離職理由、特に福島県内における、放射能漏れや住民の減少など、生活環境の大きな変化が医療スタッフの離職行動にどのように影響しているか、その心理的要因まで科学的な調査を行うことを目的としている。 本年度の研究は、まず、災害後の医師・看護師の離職に関する国内外の文献、データを収集し吟味した。次に、調査対象者が極めて専門性の高い医師、看護師の離職ということで、その理由は多様で複雑に相互の理由が関連していることが予測されることから、インタビュー調査による質的研究を行い、次年度のアンケートによる量的調査を行う仮説の構築を行った。具体的には、2012年9月に原発事故によって閉院状態に置かれる病院の元看護師7名に対して半構造化面接法によるインタビューを行い、得られたテキスト・データを修正版グラウンデット・セオリー・アプローチによって質的分析を行った。 その結果、震災時の仕事と家族への思いとして「看護職へのワーク・コミットメント」、「組織の中の人間関係」、「管理職としての行動」、「心理的報酬」、「家族と仕事の葛藤」、「被ばく経験」の6単位のカテゴリーと計20件の下位概念が、震災2年後の仕事と家族の変化として、「惨事ストレス反応」、「新生活との不適合」の2単位のカテゴリーと計8件の下位概念が生成された。このことから、原発事故の影響による避難を強いられた看護師の離職防止策として、看護師の住居と教育等の家庭生活の早急な安定を実現する環境整備支援が最も重要であるとの結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画と実績は、概ね順調に進んでいる。初年度の計画であった災害後の医師・看護師の離職に関する国内外の文献、データを収集し吟味する文献レビュー、及び東北地区の医師、看護師、病院関係者と行政担当者へのインタビュー調査に基づく質的研究を完了し、その成果を「福島原発事故による看護師の仕事と家庭の変化が離職に与える影響」という論文のまとめ、現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度のインタビュー調査で得られた知見に基づいて、東北地区における医師、看護師の震災後の離職理由のアンケートとして設計する。さらに、このアンケート調査によって得られた量的データから、本年度のインタビュー調査に基づく質的研究成果によって構築された仮説を、回帰分析や因子分析、コンジョイント分析など多変量解析によって検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査の対象人数が計画より少なく、謝金等が予算を下回った。 追加のアンケート調査を次年度も実施することにより、謝金等が増加し、計画どおりの支出になることを見込んでいる。
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