2013 Fiscal Year Research-status Report
オミクスの手法を統合したトキシコオミクスによる薬毒物中毒の分子機構解析
Project/Area Number |
25460862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秋 利彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (60304474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 公一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30244586)
船越 丈司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40444715)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー / 肺線維症 / アポトーシス / 心筋障害 |
Research Abstract |
薬毒物の乱用による異状死の鑑定への寄与を目標として、各種薬毒物の細胞変性作用の分子機構を解析した。まず、農薬パラコートによる肺線維症の発症機序の解明を試みた。パラコートを肺胞上皮細胞(A549とL2)に長期間曝露したところ、いくつかのタンパク質が顕著に発現上昇している事を電気泳動にて確認した。それらをマトリクス支援レーザーイオン化法による質量分析(MALDI-TOF-MS)に供したところ、間葉系細胞のマーカータンパク質であることがわかった。さらに、培養上清に線維素が放出されることも確認した。これらから、パラコート曝露した肺胞上皮細胞に間葉化と線維化とが引き起こされる事がわかり、両者に相関関係がある事が考えられた。次に覚せい剤(メタンフェタミン)を心筋細胞に曝露したところ、いくつかのタンパク質が著名に減少している事を見出し、MALDI-TOF-MSによりミオシン重鎖が著名に減少している事を突き止めた。同時にユビキチン・プロテアソームによるタンパク質分解とオートファジーによるタンパク質分解を検討したが、両分解系の覚せい剤刺激に対する応答は異なっていることがわかった。これら結果から、覚せい剤による筋萎縮の機構の一端が示唆された。また、ヒ素による心筋障害の機構を調べ、ミトコンドリア恒常性維持に関与するタンパク質であるパーキンが活性化されている事を見出した。ヒ素曝露細胞に於いて、パーキンはミトコンドリアに局在し電位依存性アニオンチャンネルをユビキチン化していることが示され、障害ミトコンドリアの分解除去に関与している事がわかった。以上から、法医実務において問題になる薬毒物による毒性発現機構に重要なタンパク質分子を複数同定する事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である薬毒物による障害の分子マーカーの候補を複数同定する事が出来た。よって本課題は順調に進行していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は培養細胞を用いて同定された薬毒物障害分子マーカーの動物実験に於ける検証、またこれら分子の活性化・不活性化による細胞代謝・ホメオスタシスへの影響を分析計を用いて検証する。
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Research Products
(8 results)