2014 Fiscal Year Research-status Report
HRM解析による法医学に有用なSNPマルチゲノタイピング法の確立
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25460868
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中川 真由美 鳥取大学, 医学部, 講師 (00243410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HRM解析 / SNP / マルチプレックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医学分野におけるDNA鑑定では高度に変性・分解した試料も多い。また、ひとたび大規模な自然災害が起きれば微量の変性試料を多数鑑定せねばならないことも予想される。そのような変性試料の場合、変性の影響を受けにくい一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)を解析対象とするのが適している。本研究ではリアルタイムPCR装置を用いたHRM(High Resolution Melting)解析による正確で迅速なSNPのマルチゲノタイピング法の確立を目指す。 検討する遺伝子のSNPは、ABO血液型遺伝子における3部位、アルコール代謝に関するアルコール脱水素酵素(ADH)およびアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)遺伝子について1部位ずつ、その他4遺伝子4部位である。HRM解析によるSNPタイピング法には①プローブを用いない方法、②いずれか一方のアリルに特異的なプローブを1種作成し用いる方法 がある。本研究では①による解析法を目指しており、共通プライマーで両アリルを増幅してHRM解析を行ったが融解温度(Tm値)の差が小さく判定が困難である。両アリルのTm値に差を生じさせるには増幅産物の長さを変えることが有効である。アリル特異的に増幅し、かつ増幅産物の長さが異なるようなプライマーの作成、つまりAPLP(Amplified product-length polymorphism)法の原理を応用したHRM解析が明確にタイピングを行うため良いと考え現在検討中である。ただし、アリル特異的なプライマーを用いると1SNPに3つのプライマーが必要となり、マルチプレックスで行う場合プライマーの数がさらに増える。今後は共通プライマーで増幅する方法と、アリル特異的プライマーを用いる方法の両法を検討しながら、より正確で迅速かつ安価なタイピング法を確立していこうと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ABO遺伝子やADHおよびALDH遺伝子などのSNPについてHRM解析を行っているが、改善はされてきているもののアリルごとの融解曲線の判定がまだ難しいところがある。誤ったタイピングを行わないため、もう少し明確に判定できる方法がよいと考える。正確性、再現性を高めるためさらに検討・改良を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
方法の確立にはまだ達していないが、少しずつ改善されており、よい結果が得られると考える。 APLPの原理を利用したPCR増幅によりHRM解析の精度を上げていきたいと考える。 HRM解析に関する文献を見ると、目的の増幅産物よりTm値が低いDNAと、高いDNAを温度補正コントロールとして加えるという報告がある。コントロールを基準にすれば機器や試薬のコンディションがかわっても目的産物の波形を正しく判定することが出来る。本研究でもこのコントロールを用いる方法を検討する。
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Causes of Carryover |
26年度は、初年度に購入した試薬や、従来から有していた消耗品によりある程度実験が行えたため、購入物品が少なく残額を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越していた試薬および消耗品も26年度に使用したため、27年度は新たに試薬・消耗品を購入する必要があり繰越額をあわせた27年度分の予算から購入する予定である。
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