2015 Fiscal Year Annual Research Report
HRM解析による法医学に有用なSNPマルチゲノタイピング法の確立
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25460868
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中川 真由美 鳥取大学, 医学部, 講師 (00243410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | HRM解析 / SNP / マルチプレックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医学分野におけるDNA鑑定では高度に変性・分解した試料も多いため、その場合影響を受けにくい一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism : SNP)を解析対象とするのが適している。本研究は、リアルタイムPCR装置を用いたHRM(High Resolution Melting)解析による正確で迅速なSNPのマルチゲノタイピング法の確立を目的とし、2つの遺伝子領域についてその方法を確立することができた。 まず、ADAMTS13の遺伝子に存在するc.C1423T(p.P475S)変異の解析である。ADAMTS13は、血液凝固に働くvon Willebrand factorの特異的切断酵素として血小板血栓形成能を制御するが、本変異はADAMTS13活性を低下させるといわれている。ADAMTS13活性が低下すると血栓性血小板減少性紫斑病を誘発するため臨床的にも重要である。またこの変異が大動脈解離患者で高頻度にみられたという報告や、アジア人特異的な分布を示すという報告もあり、この変異の解析はさまざまな方面に有益であると考えられる。 次に、ABO血液型遺伝子のタイピングである。この遺伝子の同定は法医学分野でも多用され、A型遺伝子と比較すると、O型遺伝子は261番の塩基が欠失しており、B型遺伝子は803番に塩基置換がみられる。本研究ではこの2箇所のSNPを同時に解析するマルチゲノタイピング法を確立した。マルチプレックスで解析することでさらにサンプルの少量化、時間と労力の削減が可能となった。 今回の方法は、いずれも高価なプローブなどは必要とせずPCR増幅に用いるプライマーと飽和型DNA結合色素を用い、約1時間半で96サンプルのタイピングを行うことができる安価で簡便・迅速な方法である。これらの方法は今後法医学分野や臨床における解析に役立つものと考える。
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Research Products
(1 results)