2015 Fiscal Year Annual Research Report
X染色体多型マーカーの血縁鑑定における有用性の評価に関する研究
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25460874
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青木 康博 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90202481)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA多型 / X染色体 / マイクロサテライト / 連鎖不平衡 / 連鎖解析 / 組み換え価 / 血縁鑑定 / 集団調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,X染色体STRのポピュレーション・データの収集を行った。新たに91名(女性27名,男性64名)よりインフォームド・コンセントを得て試料採取・DNA抽出を行い,計747名(女性323名,男性424名)につき,Nakamura et al. が報告した18座位を含むX染色体STR27座位のデータを得た。またこれとは別に,集団間比較のためエジプト国在住者230名(女性107名,男性123名)のサンプルについて,上記18座位につき型判定を行った。サンプル数に差があるが,エジプト国在住者集団の女性においてハーディ・ワインバーグ平衡からの甚だしい逸脱を示す座位,あるいは男女間でアリル頻度に有意な差がある座位を認めなかったため,集団間のアリル頻度の比較を行ったところ,18座位中16座位で有意差を認め,遺伝的多様度も異なるとの結果が得られた。 一方,X染色体STRの血縁鑑定における有用性を検証するため,27座位のポピュレーション・データをもとにコンピュータ・シミュレーションを行った。前年度に作成したスクリプトをさらに改良し,組み換え価および突然変異率を組み込んで,父-娘,全同胞姉妹,半同胞姉妹などのペアを発生させ,非血縁者との尤度比,Identity by state (IBS)数を算出した。その結果父-娘関係はほぼ確実に判定可能である他,全同胞姉妹-非血縁者間では97%,異母半同胞姉妹-非血縁者間では99%鑑別可能であると考えられた。異母半同胞においては,父由来アリルを共有するため,高い識別力が得られる結果となった。今回採用した計算法は比較的単純なモデルで処理を行っているが,連鎖および突然変異を組み込んだ計算用ファイルパッケージとして十分に実用に供しうるものと考えられる。
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