ゲノムプロファイリング法による感染微生物の検出

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25460875
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Kyoto Prefectural University of Medicine
• Principal Investigator: 池谷 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30292874)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: ウイルス / ゲノムプロファイリング

Research Abstract

解剖時に採取された血液を使用するために、学内の医学倫理委員会に研究利用の許可を申請し，許可を得た．
本年度は，解剖体数が半減したため，検体の収集が予定通り行かなかったため，実際の検体を用いて解析に入る前に，モデルとなるウイルスのプラスミドを用意し，ゲノムプロファイリング法の有効性を検証した．
JCウイルスおよびBKウイルスをモデルをして検討を行った．これら２つのウイルスは近縁種であり，いずれもヒトピオリオーマウイルス科に属し，70％程度の相同性が認められているウイルスである．JCウイルスは，AIDS患者等で進行性多巣性白質脳症をおこしたり，BKウイルスは腎移植患者の慢性拒絶反応や，出血性膀胱炎などで注目されているウイルスであるり，いずれのウイルスも臨床的にも重要であると考えられている，いずれもDNAウイルスであり，ゲノムサイズが5200bpと非常に小型のウイルスである為，解析が容易であり今後の感染症を解析する上での基礎データが集められると考えられたからである．
これら2つの近縁ウイルス種をターゲットとし，基礎データを得る為に，2つのウイルスの複数株のプラスミドを用意し，通常のシークエンス解析データをもとにした分子系統解析の結果により判定したウイルスゲノム型が，ゲノムプロファイリング法により判定されたゲノム型と同一であるかどうかを比較検討した．この検討により，ゲノムプロファイリング法では，2種のウイルス特有のSpiddosが明らかになったほか，クラスター解析の結果で，ウイルス種を区別する事は可能であったが，ウイルスのゲノム型まで完全に識別することは困難であった．現段階では，少なくともウイルス種は性格に区別する事ができた為，この結果を論文として報告するべく投稿を行った．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

検体収集が思いのほか少なく，予定していた検討ができなかったが，プラスミドサンプルを用いる事で研究の基礎データを得る事ができたため．

Strategy for Future Research Activity

ウイルスゲノム型の判定が困難であったのは，ウイルス株の塩基配列の違いが1％以下であり，現在のゲノムプロファイリング法の解析方法の中で，Spiddosの同定が目視で行なわれているため，Spiddosの同定の段階で1%程度の誤差が出てしまうためであったと考えられた．今後はOn web GP siteを利用して機械的にSpiddosを同定できるかを検討する予定である．
今年度は引き続き，検体の収集を行い，一定量に達した後に，細菌感染症に着目して16SrDNAを増幅し，これを従来法によりシークエンス解析を試みるほか，ゲノムプロファイリング法で解析を行い，両者の結果を比較検討する．
さらにプランクトン検査に関し，今年は，各地で採取された河水・海水に含まれるレジオネラに着目し，これを検出するべく従来法とゲノムプロファイリング法にて行った結果を比較検討する．

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度は，解剖数が極端に減少して検体の収集が困難であったため，既に入手しているプラスミドサンプルを解析する事で研究を遂行した．このため，検体の収集，解析にに要する費用がかからなかった．さらに次年度に集中的に研究できるように計画を修正した．
また学会報告に関しても検体が思うように集まらなかったため，次年度に延期した．
2年分の検体を一気に解析する予定であるため，そのための試薬等の購入を行う予定である．また，今年度の研究成果を次年度のウイルス関連学会にて発表する予定であるのでその費用を支出予定である．