2015 Fiscal Year Annual Research Report
わが国におけるアドバンスケアプランニングの方法論の確立とその有効性に関する研究
Project/Area Number |
25460886
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木澤 義之 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80289181)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アドバンス・ケア・プランニング / 意思決定 / 終末期医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
体系的文献検索と専門家討議による結果に基づいて、わが国独自のアドバンス・ケア・プランニングの方法論と系統的プログラムとその教育方法を開発した。国立長寿医療センターと協同で行った。プログラム名をE-Fieldと名付けた。平成27年度においては161例の相談が行われた。結果から以下の4点が明らかとなった;1)既存のADが16.8%で示されていた、2)50%以上で相談されていたのは、「病状認識と治療目標の確認」「困っていること、心配なこと、大切なこと、不安なことについて相談」、「希望する医療に関する相談」であった、3)生命維持治療や栄養等に関する具体的な相談に至った例は比較的少数であった。医療行為に関する相談については、輸液、胃ろう、人工呼吸器に関する相談が多かった、4)人生の最終段階の相談に要した労力は回数として3回程度、総相談時間は1.5時間程度であった。 相談を受けた患者・家族の質問紙調査を行った。257名から返送があった。結果から以下のことが明らかとなった;1)9割を超える回答者が本相談が役立ち、他の患者・家族にも役立つと回答した、2)全ての相談項目について8割以上の回答者が有用であると回答した、3)人生の最終段階に関する相談について、「縁起でもないと感じた」、「あまり知りたくない内容だと感じた」、「不安や心配がかえって強くなった」と答えた患者・家族はそれぞれ、10.5%、12.8%、10.5%だった、4)人生の最終段階について7割以上の回答者が「患者の希望がより尊重されたと思う」、「悩みなど自分たちの思いが医療者に分かってもらえた気持ちがする」、「今までわからなかったことを理解することができた」、「不安や心配が和らいだ」と回答した。 開発されたACPのプログラムの実施性が証明された。実施にあたっては全員に行わず、侵襲のないコミュニケーションを心がける必要がある。
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