2014 Fiscal Year Research-status Report
EMIを目指した心身両面からの生活習慣改善自己管理ツールの開発
Project/Area Number |
25460889
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉内 一浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70313153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 裕 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20282618)
羽田 裕亮 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20436463)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エコロジカルモメンタリーアセスメント / 携帯情報端末 / スマートフォン / コンピュータ適応型質問 / うつ / 不安 / 食行動異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、日常生活下において信頼性の高い評価法であるEcological Momentary Assessment(EMA)を用いた研究を行ってきた。特に、研究代表者らのグループが開発した、携帯情報端末上で動作する食事入力・摂取エネルギー自動計算ソフトウェアは、管理栄養士による評価を外的基準とした正確性の検証も既に行われている(J Am Diet Assoc 109:1232-1236, 2009)。本研究では、これらのシステムをさらに発展させて、スマートフォンによる心身両面の自己管理ツール開発を行うことを目標とする。 今年度は、倫理委員会での承認を得ることができたので、より精度の高い心理面の評価システムの開発を行うために、項目反応理論を用いたコンピュータ適応型質問票(computerized adaptive test, CAT)を作成するために、昨年度作成した「うつ」と「不安」を評価するための項目プールを用いて、各項目の項目母数産出のための調査を開始した。項目プールは、EMAでの応用を視野に入れているため、従来の質問票で用いられている「過去1週間の状態」に関する質問項目セットに加え、「質問に回答する瞬間の状態」に関する質問項目のセットで、それぞれ128項目と124項目である。 2015年3月31日時点では、健常成人における調査を終了し、男性158名(50.2±14.7歳)、女性156名(48.7±14.4歳)から回答を得ることができた。また、疾患群においても調査中であり、うつ状態・うつ病患者87名、不安症患者49名、摂食障害患者39名から回答が得られている。さらに、健常者を対象として、食欲に関するEMA用の測定尺度の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の進捗は、おおむね順調であったが、昨年度、エキスパートコンセンサスで、「うつ」および「不安」の質問項目のセットを作成し、推敲を行うことに時間が必要であったことと、倫理委員会での審査時間がかかったことにより、当初の計画よりもやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
うつ病患者、不安症患者、摂食障害患者、メタボリック症候群患者を対象に、作成した質問項目プールへの調査を継続し、コンピュータ適応型質問票(computerized adaptive testing, CAT)の作成を行うために、後述の解析を行う。 まず、各項目に関して、回答数がゼロの選択肢がないか否かのチェックと、それぞれの項目プールが一次元性を有しているか否かのチェックを行う。次に、各質問項目に関して、項目反応理論による項目母数の算出を行い、各項目の識別力と困難度を算出し、識別力の低い項目を削除する。また、男女間や、疾患群ごとに回答パターンの違いがないかを differential item functioning(DIF)を検討することによって行う。 さらに、心理面と摂取エネルギーや運動、血圧、体重をグラフで同時表示することによる可視化や、目標摂取エネルギーを明示しておくなど、認知行動療法の技法に基づいて、効果的な治療アルゴリズムを検討し、心身両面からの自己管理に有用な携帯端末用ソフトウェアを開発する。 そして、開発したシステムに関して、食行動を中心とした生活習慣の改善が必要な患者を対象として、実際に使用してもらい、本システムの使用感および効果(使用群のみの前後比較)を検証し、改良を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度、調査項目の作成および、倫理委員会の承認までの期間が、当初の予定よりも長かったために、進捗が遅れており、その影響で、今年度の患者群における調査が終了しなかったことと、そのために、携帯情報端末上で動作するアプリケーションの改修が間に合わなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者群への調査に対する謝礼として図書カードによる謝礼を行うことと、アプリケーションの改修を予定している。
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