2014 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス・Wnt/β-catenin経路による2型糖尿病の骨代謝異常の解明
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25460900
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山本 昌弘 島根大学, 医学部, 助教 (50346392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 骨脆弱性 / 骨質 / 酸化ストレス / 8-OHdG / ホモシステイン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は骨密度が高くとも骨折リスクの増加のある2型糖尿病の骨脆弱性の病態に、終末糖化物質(Advanced glycation end-products: AGEs)が関与することを臨床的に世界に先駆けて証明した。このAGEsは酸化ストレスにより誘導され、また近年では動物実験により、酸化ストレスの防御因子の低下と骨代謝の関連が報告されており、酸化ストレスの増加が骨代謝へ悪影響を与えることが示唆されている。しかし、直接的に酸化ストレスと骨代謝との関連や、酸化ストレス亢進が知られている糖尿病における骨代謝異常において、酸化ストレスの関与は明らかにされていないことから、その関連性と機序について検討することを目的とした。 酸化ストレス亢進状態と関連する血清ホモシステイン濃度と、酸化ストレスによる細胞障害を反映する尿中8-OHdG濃度を指標に、骨脆弱性の指標として椎体骨折との関連を検討した。 いずれの酸化ストレス指標も、増加とともに既存椎体骨折の増加と有意な関連を認めた。またこの関連は骨密度と独立して関連を認めた。骨強度は骨密度と骨質により規定されることから、酸化ストレスの亢進は骨質低下による脆弱性亢進機序を有することが示唆された。 我々の研究室では、非糖尿病状態だが、ホモシステインの添加により骨細胞のアポトーシスが誘導され、抗酸化物質により阻害されることを確認している。従って糖尿病患者の酸化ストレスによる骨脆弱性亢進機序の一部には、骨細胞の障害が関与している可能性を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であった、酸化ストレスを反映する指標と骨脆弱性の関連を統計学的に証明するデータを得て、国内学会で成果発表を行った。学会発表において批判的意見はなく、容認しうる水準の研究成果を得られたと考えられ、研究の達成度は概ね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た成果を、最終報告として海外の骨代謝関連学会において発表し、英文で論文投稿を行い、酸化ストレスが2型糖尿病において骨質低下型の骨脆弱性亢進の病態形成に関与していることを公表する予定である。 また近年計測が可能となった椎体骨微細構造指標と酸化ストレスとの関連を進め、骨の構造的骨質低下機序への関与の有無を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
成果発表の旅費および論文発表の出版費・構成費として各々旅費および人件費・謝金を計上していた。昨年度の研究実績で報告したように、検体測定結果の入手の遅延により、予定していた成果発表ができなかったため、次年度使用額が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は研究成果を発表するために、抄録を海外および国内学会に登録した。また英文論文の投稿中であり、旅費ならびに人件費・謝金を活用する状態にある。投稿結果で追加データを要求された場合に、物品費を活用し測定キットを購入することを計画している。
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Research Products
(32 results)