2015 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス・Wnt/β-catenin経路による2型糖尿病の骨代謝異常の解明
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25460900
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山本 昌弘 島根大学, 医学部, 講師 (50346392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 骨脆弱性 / 2型糖尿病 / 骨質 / ホモシステイン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、骨密度が高くとも骨折リスクが増加している2型糖尿病の骨質低下型骨脆弱性において、終末糖化物質(Advanced glycation end-products: AGEs)が骨折リスクと有意に関係することを見いだし、骨質低下の病因の一端を臨床的に明らかにした。酸化ストレス除去因子欠損動物の実験成果により、酸化ストレス亢進状態で骨強度が低下することが報告されている。酸化ストレスはAGEsの主要な生成因子であり、2型糖尿病患者のAGEsを介した骨脆弱性の病因の可能性がある。そこで2型糖尿病患者において、酸化ストレス生成と関連が示唆されているホモシステイン、および酸化ストレス障害マーカーである8-OHdGを指標に椎体骨折の関連を臨床的に検討した。 1)ホモシステインと骨脆弱性の関連 50歳以上の男性または閉経後2型糖尿病患者(男性202名、女性140名)において、血清ホモシステイン濃度の上昇は、男性において骨密度とは独立して既存椎体骨折の増加と有意に関連した[Odds比 2.66(95% 信頼区間1.30-5.44)]。 2)8-OHdGと骨脆弱性の関連 50歳以上の男性または閉経後2型糖尿病患者(男性140名、女性101名)において、椎体骨折者では性別に関わらず8-OHdG濃度が有意に高く、年齢や骨密度と独立して椎体骨折の増加と有意に関連した[男性:Odds比 4.73 (95% 信頼区間2.09-10.7)、女性Odds比 1.71(95% 信頼区間1.03-2.85)]。 性差はあるものの、これらの結果は、酸化ストレスの生成と傷害の両者において2型糖尿病患者の骨折リスクと有意な関連を示すことから、2型糖尿病状態の骨粗鬆症の病因として、酸化ストレスの増加が関与していることが示唆された。
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Research Products
(37 results)