2015 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の発症機構における無症候性白質病変の意義の解明
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25460905
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木村 成志 大分大学, 医学部, 准教授 (30433048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 憲一郎 大分大学, 医学部, 医員 (70608372)
麻生 泰弘 大分大学, 医学部, 助教 (80555194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / 軽度認知障害 / アミロイドイメージング / バイオマーカー / 大脳白質病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
無症候性白質病変がADの発症機構を修飾することを解明するため、健常高齢者と軽度認知障害(MCI)を対象とした神経心理検査、3.0T-MRI 、アミロイドPET、血液・脳脊髄液バイオマーカー測定の研究を実施した。【アミロイドPET】11C-Pittsburgh compound B(PiB)-PETを施行し、Standardized Uptake Value Ratio(SUVR)のカットオフ値を1.4とした。MCI45例中24例(53%),健常高齢者25例中7例(28%)に前頭葉、後部帯状回、側頭頭頂葉を中心にアミロイドの沈着を認めた。【脳脊髄液バイオマーカー】アミロイド陽性者は、陰性者と比較してAβ42が低値、リン酸化タウ蛋白と総タウ蛋白が高値であった。さらに、MCIのPiB陽性群においてSUVR値とmacrophage inflammatory protein-1β (MIP-1β)に相関を認め、MCIのPiB陰性群においてSUVR値とstem cell growth factor-β (SCGF--β)に相関を認めた。【拡散テンソル画像解析】脳内アミロイド蓄積群は、非蓄積群と比較して後部帯状回と側頭頭頂葉の変性が高度であった。さらに、白質変性と脳内アミロイド蓄積に相関を認めた。 脳脊髄液中MIP-1β、SCGF-βがPiB陽性のバイオマーカーの候補となる可能性がある。大脳白質病変は、脳内アミロイド蓄積と関連する。 近年、神経細胞、アストロサイト、毛細血管から構成されるneurovascular unit(NVU)の障害が注目されており、このNVUの障害は、虚血性大脳白質病変の形成に関与し、さらに、ADの発症機構の最上流に位置するアミロイドβ蛋白(Aβ)の脳内蓄積にも影響することが報告されている。今後の研究によりWMLがADの発症予防における重要なターゲットとして確立され、将来的にNVUの保護を目標とした新規治療法の開発に繋がると確信する。
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Research Products
(10 results)