2013 Fiscal Year Research-status Report
腸閉塞モデルマウスにおける大建中湯の有効性とその作用機序
Project/Area Number |
25460911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
及川 哲郎 北里大学, 付置研究所, 研究員 (10370165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大建中湯 / 抗炎症作用 / 術後腸管麻痺 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / マクロファージ |
Research Abstract |
大建中湯(DKT)は術後腸管麻痺(POI)マウスモデルにおいて回腸の外科的な摩擦刺激(intestinal manipulation; IM)による腸管運動能の遅延を有意に改善させた。IMを施行した回腸筋層部ではCD68陽性細胞数とMPO陽性細胞数が増加し、マクロファージと好中球の浸潤が示唆された。MPO活性もIM 後に増加した。DKTはマクロファージと好中球浸潤を有意に抑制し、MPO活性を減少させた。IM 3時間後においてTNF-α、MCP-1のmRNA発現は上昇したが、DKTによりTNF-α、MCP-1のmRNA発現が抑制された。α7ニコチン性アセチルコリン(nACh)受容体阻害剤のメリルリカコニチンクエン酸塩(MLA)の投与はDKTの抗炎症作用を有意に抑制した。さらに、α7nACh受容体ノックアウトマウスではDKTのマクロファージ浸潤抑制効果が有意に減弱した。 以上の結果より、DKTは消化管運動機能亢進作用に加えて、抗炎症作用を示すことでPOI治療効果を示すことが初めて明らかとなった。その作用機序の一部としてセロトニン(5-HT3)受容体と、または、5-HT4受容体刺激によりコリン作動性筋層間神経叢からのAch分泌が促進し、このAChが炎症により活性化したマクロファージ細胞膜上のα7nACh受容体を活性化し抗炎症作用を発揮する可能性が示唆された。 結論として、DKTは消化管運動改善作用に加え、抗炎症作用を持った新しいPOIの治療薬となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)マウス術後腸管麻痺(POI)モデルに大建中湯(DKT)を投与し、消化管運動機能の解析、MPO活性の測定、筋層部におけるMPO陽性細胞数の検討、CD68陽性細胞数の検討、炎症誘導性サイトカインの検討がすべて終了した。 2)DKTのPOIにおける抗炎症作用がマクロファージのコリン作動性神経α7nACh受容体や5HT3受容体の抑制を介している可能性を、各抑制剤を用いて検討し、抗炎症作用がコリン作動性神経α7nACh受容体の抑制を介する作用であるか、ノックアウトマウスを用いた検討も終了し、その結果解析により抗炎症作用とPOI改善の機序の詳細が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
大建中湯(DKT)の構成生薬単位でもマウス術後腸管麻痺(POI)に有効性を示すか否か、あるいは、各構成生薬のうち1種類を抜いた場合、マウスPOI抑制効果が消失するのか否かを検討する。合わせて、想定有効主成分での検討も行う。これらの検討により、DKTのPOIに対する抗炎症作用における有効生薬と有効成分を同定することが今後の課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬等新規購入しなくても研究室在庫のものを使用することが出来、節約することが可能であった為、予定よりも使用金額が少なくても研究が順調に進んだ。 今後は新規に試薬等の購入が予定される為、翌年度分として請求した助成金と合わせた金額が研究を進めて行く上で必要となる。
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Research Products
(2 results)