2014 Fiscal Year Research-status Report
腸閉塞モデルマウスにおける大建中湯の有効性とその作用機序
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25460911
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
及川 哲郎 北里大学, 東洋医学総合研究所, 研究員 (10370165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東洋医学 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は大建中湯(DKT)の術後腸管麻痺に対する治療効果の作用機序を検討し、DKTは消化管運動機能亢進作用に加えて抗炎症作用を示すこと、その作用機序の一部はα7ニコチン性アセチルコリン受容体活性化によるマクロファージ浸潤抑制作用によることを明らかにした。しかし、DKTの抗炎症作用の薬効に関係する活性成分については明らかでない。そこで、DKTの処方中の各生薬単味や特定の生薬一味抜きにしたDKTを用いて、POIモデルマウスにおける抗炎症作用に対する作用を検討し、抗炎症性の活性を持つ生薬を同定しようと試みた。その結果、外科的刺激(IM)を施行した回腸筋層部ではCD68とMPO陽性細胞数が増加し、マクロファージと好中球の浸潤が認められた。MPO活性もIM後に増加した。DKTはマクロファージと好中球浸潤を有意に抑制し、MPO活性を減少させた。DKT去人参の投与では抗炎症作用を維持していたが、乾姜、山椒、膠飴を除いて煎じた他の一味抜きDKTは、抗炎症作用を示さなかった。一方、一味投与による検討から、乾姜一味の投与でDKTと同等のマクロファージ浸潤抑制作用を示した。以上のことから、POIにおける DKTの抗炎症作用において、マクロファージ浸潤抑制作用には乾姜成分が関与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内に明らかにしようと計画していた項目についての結果が得られ、学会発表で成果を発表することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
DKTの抗炎症作用において、そのマクロファージ浸潤抑制作用に関与する可能性が考えられた乾姜について、α7nACh受容体や5HT受容体を中心とした詳細な分子機構を明らかとしていく。
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Causes of Carryover |
調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の使用が節約できた。 学会発表の開催が現住所の近隣で行われた為、旅費などがほとんどかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究成果発表を行う機会が多く、学会発表の開催場所も現住所から離れた遠隔地で開催される予定がある為、旅費や論文発表における英文校正費、掲載費などに多くの費用がかかると予想される。また、試薬などの消耗品も残量が無くなっていたり、ハサミ等の器具類についても劣化で作業に支障が出ていることから新たに購入する必要もあり費用がかかると考えられる。
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Research Products
(2 results)