2014 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質下病変に関連する認知障害及び機能障害とアミノ酸トランスポーターの関与
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25460912
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
神崎 恒一 杏林大学, 医学部, 教授 (80272540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大脳皮質下病変 / マウス / 学習記憶試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】大脳皮質下病変は慢性的な動脈硬化性疾患の一病型であるという考え方のもと、マウス慢性脳低還流モデルを用いて、病変形成過程を検討することを目的としている。また人で実際に見られる病変形成や発症時の性差や加齢の影響も併せて検討する。 【実験】①マウス慢性脳低還流モデルの作成と評価:既報(Stroke 2004; 35: 2598-2603)に従いC57BL6Jマウスの両側頸動脈周囲に狭小コイルを巻き付けることで脳血流量を低下させ、慢性脳低還流状態を誘導した。術後脳を摘出し、パラフィン切片作製後に脳標本を鏡検したところ、7,14,28日後と経時的に脳梁などにおいてGlial Fibrillary Acidic Protein(GFAP)免疫染色強陽性を呈し、アストロサイトの活性化が認められた。また、活性化ミクログリアを示すionized-calcium binding adaptor molecule (iba)1も経時的に強陽性を認めた。アミノ酸トランスポーターの発現および傷害の状態については検討中である。②学習記憶試験:昨年度は新奇物体認識試験をオスに対して行ったが、今年度は同週齢のメスに対して実施した。メスの非傷害コントロールマウス(n=9)に比べて頸動脈コイル装着マウス(n=9)ではtest phase時の総探索回数は有意に少なかった(p<0.05)。しかしtest phase時の新規オブジェクトへの探索回数には両群で有意差が認められなかった(p=0.93)。すなわちメスはコイル装着により探索嗜好性は減少するものの、記憶力の低下は認められなかった。さらに本年度はマウスの行動評価ツールとしてY maze testを導入し、現在検討中である。 【結論】頸動脈コイル装着による慢性脳低還流状態にすると、雄性マウスでは探索嗜好性および記憶力低下が見られたが、雌性マウスでは探索嗜好性の低下のみ認められ、記憶力には変化が見られなかった。次年度は脳の病理標本から病態進展に対する性差比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も時間がかかると予想される動物の学習記憶試験について順調に遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた実験内容のうち、動物実験については複数の実験計を施行することができた。今後は動物の学習記憶試験の解釈を進めるほか、病変形成時の炎症マーカーの動態についてさらに詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの使用額であったが、少額の余剰金について使い切ることができなかった。このため次年度予算と合わせて使用予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と合わせて、免疫染色用試薬を新調するのに充てる予定である。
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