2014 Fiscal Year Research-status Report
組織内在性幹細胞を標的とした末梢動脈疾患治療法の開発
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25460914
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
礒 良崇 昭和大学, 医学部, 准教授 (60384244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋 昭和大学, 医学部, 教授 (90266106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 間葉系幹細胞 / 血管新生 / 末梢動脈疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(MSC: mesenchymal stem cell)は、骨髄のみでなく生体の様々な組織に分布していることが明らかとなり、骨格筋組織内においても同定され、骨髄由来幹細胞と同様に高い増殖能、自己複製能、骨芽・脂肪細胞・軟骨細胞への分化能を持っていることが示された。本研究は、骨格筋MSCの末梢動脈疾患治療への応用を目指しており、今年度はヒト細胞を用いた細胞機能促進因子と抑制因子の検討である。 昨年度、ラット骨格筋MSCにおいてエリスロポエチンが細胞を活性化することを明らかにした。ラット骨髄MSCでも同様であることが認められ、今年度は更に、ヒト骨格筋組織よりMSCの単離が可能となり、ヒト細胞で検討した。脂肪由来MSCも用い、エリスロポエチン刺激を行った。両MSCともコントロールと比較し、細胞数が10~20%程度増加し、エリスロポエチンがMSC mitogenであることが明らかとなった。網羅的遺伝子発現解析を行ない、数種類のサイトカインの発現上昇を認めた。また一部脂肪MSCとの発現差異を認め、定量化を含め検討中である。細胞機能抑制因子として、いくつかの候補からFibroblast growth factor (FGF)-23に着目し、培養実験系での検討を行った。FGF-23刺激は有意にMSC細胞数を減少させ、エリスロポエチンとは反対の作用であることが示された。各種指標を用いた検討で、FGF-23はMSCの細胞老化を誘導することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の達成度に関しては、概ね予想通りである。今年度は、ヒト由来細胞による検討が行われ、また細胞活性化因子ならびに抑制因子を探索し同定するに至った。今後引き続き、これら因子の細胞修飾効果の機序を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、ヒト細胞において、細胞活性化因子と抑制因子のMSC修飾効果の詳細を検討する。エリスロポエチンの細胞保護効果ならびFGF-23の細胞老化誘導効果を確定する評価を行い、更にその機序並びに老化MSCの生体での意義を検討する。また、ラット細胞も再び使用し同種移植などin vivoでの検討もすすめていく予定である。
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