2013 Fiscal Year Research-status Report
エストロゲンによる逆流性食道炎、バレット食道発生に対する抑制効果の機序の解明
Project/Area Number |
25460924
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯島 克則 東北大学, 大学病院, 講師 (60375003)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 逆流性食道炎 / エストロゲン |
Research Abstract |
食道腺癌の罹患率は欧米において、ここ20年間で急激に増加してきており、今後、本邦でも増加することが危惧されている。食道腺癌の大きな特徴は、圧倒的に男性優位(女性に比べ、男性では6~20倍)なことである。一般的に食道腺癌は、胃・食道逆流症(GERD)関連疾患として、びらん性逆流性食道炎、バレット食道と段階を経て、最終的に食道腺癌へ進展するとされ、GERD関連疾患は全体を通して男性優位である。我々は、雌雄ラットでの胃酸逆流性食道炎モデルを用いた検討を行い、著明な雄優位の雌雄差があることを報告した。さらに、雌雄差が起きるメカニズムを検討し、エストロゲンがエストロゲンレセプターを介して食道傷害を抑制することを明らかにした。 そこで、本研究では、エストロゲンによる食道組織傷害抑制効果の機序、そして、炎症に続くバレット食道形成に対する抑制効果の有無について検討することを目的としている。 今年度は、エストロゲンの食道粘膜傷害に対する抑制作用の機序(作用部位)を明らかにするために、ウサギの食道上皮を摘出し貼り付けたチャンバーを用いて、食道上皮バリア機能の傷害についての検討を開始した。具体的には、雄ウサギにエストロゲン製剤を皮下に埋め込み、1週間後に食道を摘出し、チャンバー内で酸暴露により出現する食道粘膜傷害の変化をエストロゲン非投与群と比較し検討する。その結果、酸暴露による抵抗値変化率および粘膜透過量変化率は、エストロゲン投与群で非投与群に比べ有意な減弱していることが確認された(p<0.05)。この結果は、酸暴露による食道上皮のバリア機能傷害をエストロゲンが抑制していることを示すもので、エストロゲンが食道粘膜傷害を抑制する機序として重要な知見と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度で、ウサギ食道摘出モデルチャンバーを用いた実験で有意な重要な知見を得られた。これは、エストロゲンの食道粘膜保護作用として重要と考えられ、今後の研究の道筋ができた。今後、予定通り研究を遂行していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
食道上皮のバリア機能において、上皮細胞間結合装置(tight junction)は、重要な役割を果たしている。食道のtight junctionの構成には、種々のタンパクが関与しているが、そのなかで、occludin、claudinが重要とされている。そこで、ウサギ食道のチャンバーモデルにおいて、tight junction関連タンパクの変化をWestern blotを用いて測定し、エストロゲンの食道上皮バリア機能増強効果との関連を調べる。さらに、食道上皮の形態的な変化をみるため、食道上皮細胞間隙(intercellular space)の変化を透過型電子顕微鏡を用いて検討する。また、食道粘膜傷害抑制作用とエストロゲン濃度との関連について、エストロゲン投与量を調整し検討する。 一方、エストロゲンのバレット食道発生に対する影響に関しては、別のラット動物モデルも用いて実験を開始する。
|
Research Products
(1 results)