2014 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性食道炎の病態に及ぼす胃酸の影響についての研究
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25460928
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木下 芳一 島根大学, 医学部, 教授 (30243306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 直樹 島根大学, 医学部, 助教 (10403461)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 好酸球 / 胃酸 / プロトンポンプ阻害薬 / リンパ球 / 食道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマウスに逆流性食道炎と好酸球性食道炎のモデルを組み合わせて作成することによって胃酸の食道内逆流が好酸球性食道炎の発生に関わる機序を明らかにし、好酸球性食道炎の胃酸分泌抑制薬を用いた治療の確立を目指した研究である。 既に2013年度に好酸球性食道炎モデルマウスの作成は樹立できたため、本年度は慢性逆流性食道炎モデルマウスの作成を中心に行った。我々が以前樹立したラットにおける作成方法を採用し、野生型BALB/cマウスの前胃の結紮とネラトンカテーテルによる十二指腸の狭窄形成を行うも生存率に差が見られたため、狭窄形成に変えて十二指腸の部分結紮を行い改良を加えた。結果として肉眼的に明らかな食道下部のびらん形成は認めなかったが、組織学的に微小な粘膜欠損と、インジゴカルミン注入により胃内容の食道への逆流を認めた。これらにより両モデルの完成と判断し、今後は引き続きプロトコールの改良を行っていく予定である。 また、In vitroの研究ではヒト食道扁平上皮細胞株Het-1Aを用いて、様々な酸性環境下での刺激を行い、結果として種々の胆汁酸刺激によってTh1系サイトカインのみならずIL-5やIL-13などのTh2系サイトカインの上昇を認めた。この結果は食道内への酸逆流によってTh2系サイトカインが誘導され、好酸球性食道炎の発症に関与する可能性を示唆している。次年度はヒト末梢血から好酸球を間接磁気標識システムにより高純度に分離し、酸性条件下での各種サイトカイン、アレルギー関連遺伝子の発現、または食道上皮細胞株と共培養し、各種条件下での好酸球の活性化を測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では小動物であるマウスを用いて好酸球性食道炎モデルと慢性逆流性食道炎モデルを作成し、さらにこれらの両モデルを併せ持つマウスモデルを作成している。また本モデルをIn Vitro でさらに詳しく病態を検討するための培養細胞を用いたモデルも確立できた。特にIn VitroのモデルではTh2タイプのサイトカインの産生もIn Vivoのモデル同様に確認できており、研究の進行はおおむね予定どおりであると考えている。来年度は予定通り好酸球性食道炎モデルマウスの成立に及ぼす胃酸分泌抑制効果の検討を行っていく。具体的には各種プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール)およびヒスタミン受容体拮抗剤(ファモチジン、ラフチジン)が食道扁平上皮細胞にどのような効果を有するかについて検討する。これらはIn vitro、In vivoの両方の系において行う予定であり、平成26年度までに確立したモデルを使用していく。以上の理由から今後の進展も順調に進むことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はIn Vivoの動物モデルとIn Vitroの培養細胞の系を両方使用しながら胃酸と胃酸分泌を抑制するために使用されるが免疫系への関与の可能性も考えられる多種の薬剤の効果を検証し、最終的には最近増加傾向の著しい好酸球性食道炎患者の胃酸分泌抑制薬の作用メカニズムを明らかとする。この検討によって食道粘膜の好酸球性炎症に及ぼす胃食道酸逆流の直接的な関与を明らかにすることができる。本研究により好酸球性食道炎の診療の向上を図れると思われる。さらに好酸球性食道炎の胃酸分泌抑制薬を用いた治療の確立を目指す。平成26年度より好酸球性食道炎を含めた好酸球性消化管障害は指定難病となり、今後の症例増加が予想され、本研究がその治療に寄与することを期待している。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Reliability of symptoms and endoscopic findings for diagnosis of esophageal eosinophilia in a Japanese population2014
Author(s)
Shimura S, Ishimura N, Tanimura T, Yuki T, Miyake T, Kushiyama Y, Sato S, Fujishiro H, Ishihara S, Komatsu T, Kaneto E, Izumi A, Ishikawa N, Maruyama R, Kinoshita Y
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Journal Title
Digestion
Volume: 90
Pages: 49-57
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Intra-gastric pH following single oral administrations of rabeprazole and esomeprazole: double-blind cross-over comparison2014
Author(s)
Furuta K, Kohata Y, Fujiwara Y, Sugimoto M, Uotani T, Yamade M, Sahara S, Ichikawa H, Furuta T, Nio K, Iwakiri R, Inamori M, Kawamura O, Kusano M, Kato M, Kawami N, Iwakiri K, Takeuchi T, Higuchi H, Aimi M, Naora K, Fujimoto K, Arakawa T, Kinoshita Y
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Journal Title
J Clin Biochem Nutr
Volume: 55
Pages: 178-183
DOI
Peer Reviewed
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