2014 Fiscal Year Research-status Report
クローン病全小腸内環境解析によるバイオマーカー探索
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25460945
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荒木 昭博 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (80361690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座准教授 (40376786)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バルーン内視鏡 / マッピング生検 / 潜在的炎症 / クローン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで未知の領域であるヒト小腸に関して、バルーン内視鏡はライブでの生理的な環境下における観察だけでなく、生検による上皮細胞、間質、腸内細菌を含めた小腸環境を反映した検体の採取が可能となった。そこで本研究では、これまで申請者らが解析を行ってきたヒト小腸全長における腸管上皮細胞の組成制御・機能制御をさらに発展させ、クローン病における全小腸内の上皮細胞構成、腸内細菌叢を部位別に解析を行いクローン病における小腸内環境を理解し、最終的には本邦クローン病における病態を抽出し治療の標的を集約させることである。またその補助としてヒト小腸組織の培養のおけるex vivoの小腸上皮機能、幹細胞機能評価を確立し消化管機能スクリーニング法を開発することを目的としている。本年度は研究計画に則り、バルーン内視鏡によりクローン病全小腸からマッピング生検を施行し、上皮細胞の免疫染色による細胞組成、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い部位別の細胞制御機構を解析した。その結果、空腸側では炎症関連遺伝子の発現は認め無い一方で、回腸では非病変部においても炎症関連遺伝子の発現上昇を認めたことから、潜在的炎症は回腸全域に波及していることが示唆された。興味深いことに炎症の波及していない空腸側においても抗菌物質の一つであるHD-6産生低下を認めたことから、消化管バリア能の低下がクローン病においても示唆された。さらにHD-6の発現制御解析を行い、βカテニンとAtoh1が協調して転写活性を制御することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果により、クローン病患者の全小腸における病態が明らかとなり、特に空腸病変における消化管バリア能の低下を認めたことから病因の一つである可能性が示唆された。本年度は減少する抗菌物質を同定し、発現制御機構まで明らかとした。さらにクローン病患者の内視鏡生検検体から小腸初代培養細胞の条件検討を行い一部培養に成功していることから今年度の目標はおおむね達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究計画に則り、生検検体からDNAを採取し粘膜付着大腸菌由来のDNAを抽出することで、疾患特異的な腸内細菌叢の同定を行うと共に、患者由来初代培養細胞を用いた自然免疫応答、バリア能解析を行うことで、クローン病病態解明を試みる。
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Causes of Carryover |
試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
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Research Products
(1 results)